当研究室のコンセプト

人類の歴史を追ってみると、テクノロジーの中心を担う材料は時代によって変化しています。原始時代は石や土、すなわち金属酸化物の時代でした。しかし、文明が進歩するにつれ青銅器、鉄器、アルミニウムと、金属中心の時代が訪れました。最近ではシリコンなどの半導体がテクノロジーの先端で活躍しています。しかし次世代の材料として再び脚光を浴びているのは、金属酸化物なのです。

1986年に「高温超伝導フィーバー」を巻き起こしたのは、銅を含む複合酸化物です。コバルトを含む酸化物からは、優れた熱電変換材料が続々と発見されています。マンガンを含む酸化物では、磁場をかけると電気抵抗が100万倍にも増加するという超巨大磁気抵抗効果が発見されました。これらの酸化物では、金属元素の電子スピンが複雑に相互作用し合って、予想もつかない効果を生み出しています。

当研究室ではそんな無機化合物たちを合成し、基礎物性を調べて応用につなげるためのお手伝いをしています。現在ここで扱っている物質は、鉄化合物系超伝導体(Fe122,Fe1111など),銅酸化物超伝導体(Bi2212, Bi2223,RE123(RE=Y, La〜Lu), Nd214)、金属系超伝導体(MgB2)、熱電変換材料(Ca349, Bi222, Mn113, Nd214)、超巨大磁気抵抗材料(Mn327, Mn113)です。詳しい説明は以下のリンクをクリックしてください。

(追記)下記に挙げた研究テーマは順不同ですが、最初に挙げた新物質グループでは主に"鉄系”超伝導体群を研究しています。地球の表面に存在する元素存在度の順として有名なクラーク数は、O, Si, Al, Fe, Ca ...であり、”鉄”は非常に普遍的かつ身近な元素です。しかも鉄は従来”磁性元素”として知られており、超伝導にとっては不都合で相性の悪そうな元素であったはずにもかかわらず、鉄化合物が絶対温度50Kにも到達する高温超伝導を示したということは、特筆に値します。

(2010年7月現在の主なテーマ)

新物質(鉄系超伝導体)グループ
ビスマス系グループ
RE123グループ
MgB2グループ
熱電変換材料グループ
Mn酸化物グループ
磁気科学グループ

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