熱電変換材料グループ

熱電変換材料は温度差があるところから起電力を発生します。図1のように、p型とn型を接合し温度差を与えれば電池の役割を果たすようになります。酸化物系ならば、この高温での安定性から高温廃熱を利用した熱電変換発電が可能となります。日本国内のエネルギー利用効率は石油換算で3割程度であり7割は大気中へ廃棄されている現状を考えれば、廃熱を回収し電気エネルギーに変換できる熱電変換発電は石油代替効果を通じた地球温暖化ガスの削減につながります。岸尾研では、酸化物熱電変換材料の高性能化にむけた基礎的な研究から熱電素子開発まで幅広く研究を進めています。

Fig.1 Fig.2 Fig.3
Fig. 1. 熱電変換素子の模式図 Fig. 2. 電気泳動堆積法による多層膜型熱電素子 Fig. 3. 切り出した熱電素子のチップ

岸尾研究室で行っている応用研究の一例を挙げたいと思います。熱電素子はFig. 1のようにp型とn型熱電材料からなる接合で一つの素子を形成します。通常の方法では、数ミリ角のさいころ状の材料を図1のように敷き詰める形で素子が形成されます。我々は、電気泳動成膜法という厚膜作製を導入し、Fig. 2のような多層膜型熱電素子を作ることに成功しました。これは5層構造からなり、下から絶縁層、p型熱電層、絶縁層、n型熱電層、絶縁層となっています。これをチップにしたのが、Fig. 3です。一つのチップは5mm角程度であること、すでにp型とn型が組み込まれていることから、集積化などに優れた素子となっています。実際に500℃程度の温度差をつけると、一つのチップで約0.1Vの電圧を発生させることができます。

応用研究だけでなく、なぜ高い熱電特性が生まれるのか?熱電特性のコントロールするにはどのような方法があるのか?など基礎的な研究も行っています。

他の研究テーマも見る:
新物質グループ
ビスマス系グループ
RE123グループ
MgB2グループ
熱電変換材料グループ
Mn酸化物グループ
磁気科学グループ

≫岸尾研究室ホームページに戻る