SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.5, No.5, Dec. 1996, Article 10

PCS基地局技術関連で2つの政府機関から600万ドルを超えるプロジェクトを受託 〜 Conductus社

 本誌前号(Vol.5, N0.4 1996.10)でも報告されたように、現在米国ではPCS(Personal Communication Services )基地局向けに、高温超伝導体(HTS )を用いたフィルターシステム開発に各社がしのぎを削っている。超伝導システムは従来の銅部品を用いたシステムに比べ、格段に優れた性能を発揮するだけでなく、システムレベルにおいては、従来に勝るコストパフォーマンスを実現できる。感度が増すと共に小型化及び軽量化が可能となるからである。
 このような開発競争の先陣をきっているのがConductus社であり、すでに第1期開発計画に着手している。第1期計画は超伝導フィルターシステムの開発を目的とするDARPAのプロジェクトであり、Conductus社、ベル研およびCTI-Cryogenicsのコンソーシアムが受託している。HTSフィルタを含む低温エレクトロニクスが将来の民生用および軍用システムの要求に設計者が応える助けに資するのが狙いである。このコンソーシアムは本プロジェクトのため、PCS基地局用の高性能トランシーバーのサブ・システムを選択した。そのようなシステムでは、すぐ商用領域に適用できると同時に、軍用の実証手段としても役立つからである。第1期計画は期間が18か月であり、総開発費は5.96Mドルで半分はDARPAが出資する。Conductus社受託額は約1.8Mドルである。
 今度、Naval Res.LabからConductus社が受託した第2期計画は低温エレクトロニクス部品の統合技術に関するもので、開発費は初年度1.47 Mドル、継続を希望するなら1.48Mドル/年で2年間の延長が許容されるという。本計画のゴールは多種の技術を複合、統合する課題(低温パッケージング、サブシステムの統合ほか)に対する革新的な解決策を開発し、無線応用分野へ低温エレクトロニクス部品の展開を推進することである。最終ユーザーの満足を保証するには、個々の技術は十分に統合化され、各々最高水準で動作するものでなければならない。
 Conductus社のC.E.Shalvoy社長は「これら二つの重要な受託を政府機関から受注でき、大変嬉しい。無線分野において超伝導技術の商用化を推進中であるが、超伝導技術をさらに洗練したものに仕上げ、製品のシステム水準での性能を改善し続けることは大変重要と思う。今回の受託により、当社製品に盛り込まれるあらゆる技術について開発努力を強めることができる。この追加的支援は、今後製品の市場化を促進するうえで大きな助けになる」と語った。

(YF)


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