実証試験を目指し、7万kW 級モデル機の製作・工場試験本格化
このプロジェクトでは、当初から開発してきた各種の要素技術を集大成した7万kW級モデル機の開発と運転研究により、超電導発電機の性能や信頼性を基本的に実証するとともに、超電導発電機の実用化に向けた研究開発における次のステップである20万kW級パイロット機の設計・製作技術の確立を目指している。スーパーGMが開発中のモデル機は、いわゆる界磁超電導発電機であり、3種類の超電導ロータとこれらロータに共用の常電導ステータ1基が開発されている。超電導発電機の多様な性能を確認するために、超電導界磁巻線の励磁電流の許容変化率は、大きい超速応励磁タイプと小さい低速応励磁タイプの2種類、NbTi界磁巻線導体は3種類、またヘリウム冷却によるロータの軸方向収縮の吸収機構は2種類などとし、これらの組合せにより3種類のロータを構成している。
3種類のモデル機の一つである低速応型A機については、ロータの製作が完了し、同じく製作が完了したステータと組み合わせた工場試験に7年度末に着手し、液体ヘリウムによる冷却で、所期の冷却時間で界磁巻線が超電導状態に移行したことを確認した。このモデル機は、試験終了後にスーパーGMの試験センターに移され、8年度中に実証試験開始の予定である。
低速応型のもう一つのタイプであるB機についても、ロータの製作が完了し、工場試験において界磁巻線のヘリウム冷却が順調に行われたことが確認されている。平成9年度に実証試験を行う予定とのこと。
3番目のモデル機である超速応型機については、モデル機用ロータの設計・製作・試験技術の事前確認を行うための先行機としてのロータ部分モデルの回転励磁試験が行われた。これを追うようにして開発されているモデル機用ロータは、7年度末までに界磁巻線取り付け軸の製作が完了したところで、8、9年度にロータの組み立てと工場での回転励磁試験を行い、プロジェクト最終年度となる平成10年度に実証試験を行う。
モデル機の実証試験を行う現地実証試験設備は、大阪市内の関西電力(株)大阪発電所内のスーパーGM試験センターで建設中であり、モデル機用ヘリウム冷凍システムは100L/hの定格液化運転の確認試験を済ませるなど、ほとんど完成に近い状況である。8年度中に開始予定の実証試験には、国内はもとより、超電導発電機の研究開発を推進しているドイツ、ロシア、アメリカなどからも大きな期待が寄せられているとのことである。
写真1 工場試験中の7万kW級低速応型Aモデル機
写真2 関西電力(株)大阪発電所構内に完成間近の現地実証試験設備