SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.5, No.4, Oct. 1996, Article 9

あと4年……2000年には商品が 〜 大型HiTcモータの場合

 米国電力の70%はモータがくっている。そこにHiTcモータを導入することで年間90億kWhの電力と600億円の発電コストを節約できる ……というのだから何ともありがたい話。
 こんな皮算用にたって米国エネルギー省(DOE)はASC(American Superconducting Corp.)、Reliance Electric, Rockwell Automation Businessとの21億円の開発費用分担計画を8月12日にぶちあげている。ASCとRelianceは他のいくつかの機関と組んで1996年に125馬力HiTcモータを狙って開発を進めたら200馬力という60%も性能の高いHiTcモータができてしまった。この実績を踏まえて1989年から1000馬力以上のHiTcモータ開発を展開中である。
 DOEのレリースは第二期SPI(Superconductivity Partnership Initiative)の旗印のもとに今後4年間にRelianceは3.1億円、ASCは7.3億円をDOEから受け取り、総額21億円になるように両社が分担するというもの。 ASCのYurek社長は、米国だけがモータ開発で実験室段階を卒業していて、この計画はHiTcモータ商用化の最終段階に相当するものだと気炎を上げている。実際、最近送られてきたASCの事業報告には一抱えもありそうなレーストラック・コイルの製造の様子の写真が出ていて、大型モータ用コイルという説明がついている。これに応じるようにRelianceの親会社であるRockwell Automationのモータ・グループの責任者は大型HiTcモータの市場投入は2000〜2001年と言明している。後4年だ。
 面白いことに日本は大型HiTc発電機開発に興味を示すが,モータにはほとんど興味を持っていない。HiTcモータ開発については米国だけが熱くなっている。なお、モータは毎日500万台も生産されているという。もちろんカセットテープやMDを回す程度のモータもこの中には含まれている。PCのHDDモータも含めてここでは日本が強い。  本件についてもっとくわしい情報がほしい向きは http://www.amsuper.comへどうぞ。

(HO)


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