SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.5, No.4, Oct. 1996, Article 2

冷凍機冷却型高温超電導マグネットを用いた磁気分離実験に成功 〜 Du Pont・住友電工・Aquafine 共同チーム

 DuPont・住友電工・Aquafineの共同チームは、冷凍機冷却型高温超電導マグネットを用い、製紙業に広く用いられているカオリンからの不純物除去実験に成功したと発表した。
 実験に用いたマグネットは、以前Super Comでも紹介した住友電工が開発したBi系銀被覆線材を用いた3T冷凍機冷却型マグネットである。又、カオリンに関しては、実際に工業的に用いられている5種類のカオリンを用いて行っている。高温超電導マグネット2.5T運転で処理した物と従来機(2T常電導マグネット)で処理した物を比較した結果、カオリンの品質の低下なしに処理量を増加させる事に成功した。又、1分間で0〜2.5Tの励減磁が数十回行われたが、マグネットは問題なく運転できたとの事である。
 共同開発者の1人であるDuPont社のAlan Lauder氏(DuPont Superconductivity, ジェネラルマネージャー)は、「カオリン精製の分野において、現在、銅マグネットが用いられているが、処理量の増加が求められている。今回のテストの結果、高温超電導マグネットに置き換える事により、運転コストの低減だけでなく処理量の増大も望める事が判った。又、今回の結果は高温超電導マグネットを産業応用に初めて用いた結果であり、カオリン精製用途だけでなく他の材料での磁気分離用途や化学プロセスに対しても扉は開かれたと考えている。」とコメントしている。

(MU)


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