SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.5, No.3, July 1996, Article 6

独マグレブも高温超電導利用の可能性 〜 独研究者に聞く

 ドイツの高温超電導研究関連者によれば、同国のマグレブであるTrqansrapid は、現在環境問題の調整のため計画が遅れ、2004年ごろ開通の見通しとなっている。初期計画では常伝導磁石で開通に至る予定であるが、必要な規格は64K程度に冷却された高温超電導コイルでも十分満たせるものと関連者はみており、数年間のうちに高温超電導製品が実績を上げることで、開通後に磁石が置き換えられていく可能性は強いとされる。一方、その次のTrqansrapid路線としては東西の併合により、ベルリンーハンブルグ間が取りざたされているという。
 ドイツには、アメリカンスーパーコンダクター社が力をいれているという支店が置かれ、高温超電導コイルを用いたSMESや磁石のテストを、欧州機関と共同で行うための製品納入が行われている。当面、64K冷却の2T程度のマグネットが注目されているという。その理由は、磁場の変動に対して高温超電導コイルが極めて優秀な性能を発揮するからで、この温度では超電導体の比熱が非常に大きく、かつ、冷凍能力も数十倍以上となるからとされる。

(SSC )


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