SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.5, No.2, May 1996, Article 12

Reliance Electric社、海軍研究所 〜 高温超電導モーター開発現況を発表

 米国Cleaveland のReliance Electric/ Rockwell Automation 社のDavid Driscoll氏とワシントン市にある海軍研究所のDonald Gubser氏はヒューストンでの高温超電導10周年国際ワークショップでそれぞれ以下のように彼らのモーター開発の現況を語った。
 まず、Reliance Electric社は1987-93のEPRIコントラクトにより2馬力、3600RPM、静止型高温超電導磁界巻線型のモーターを試作。これに基づいて1993年のSPI (DOEのプロジェクト、 Superconductive Partnership Initiative)プロジェクトの3つのうちの一つに選ばれ、100馬力、3600RPM、回転高温超電導磁界巻線型でヘリウムガスにより20〜40Kに冷却するタイプの同期モーターを試作し、現在運転試験中であるが、好成績を得ている。今後さらに1998年までには、1000馬力、2001年までに5000馬力モーターにスケールアップする予定。最大の長所はモーターのサイズで半分、また電力消費のロスも半分に低減されることで、米国の電力消費の58%がモーターによる消費であることから省エネルギーに大きな貢献があると見込んでいる。
 一方の海軍研究所では、すでに低温超電導線材を用いた潜水艦などで用いるためのモーターが試作されてきた。この最大の目的は小型化と静音化である。このためのモーターは中心部に強力静磁界を超電導磁石で発生させ、周囲の銅製円筒回転子に回転軸方向に数千アンペア以上の低圧大電流を通じて、ローレンツ力で円筒回転子を回転させるもの。これはどんなに低速でも大きなトルクが得られるため、潜水艦の位置を察知される騒音を発生するギアボックスをなくすことができる。またモーターサイズを5分の1に小型化できる。現在このための磁石を高温超電導化しているが、磁界強度とともに、集電用ブラシが開発課題だ。大電流ブラシとしてGa-In-Sn系の液体金属を用いているため、腐食の問題があるとされる。このため導電性ファイバーを用いたブラシなど、異なったタイプのブラシも検討されている。海軍研究所ではこのほかに Mine Sweeper (機雷掃海)用の大型強磁界超電導磁石の開発を行なっている。  

(SSC-KS)


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