SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.1, Feb. 1996, Article 19

QD社、PPMS用試料回転機構を発売

 Quantum Design(QD)社は、1993年に自社のSQUIDシステムを発展させる形で、種々の物理量を簡便に測定できるシステムであるPPMS(Physical Properties Measurement System)を発表し、それ以来これに適合するオプションの開発を続けてきたが、去る1月25日クライオスタット内で試料を回転するオプション、"Horizontal Sample Rotator"の発売をプレスリリースしたのでここに紹介する。
 配布された資料によれば、この回転機構によって試料は縦磁場中で磁場に垂直な軸の周りに回転する。そのため試料と印加磁場間の角度を変化させながらの測定が可能になる。回転にはステッピングモータが使用されており、0.05゜の角度分解能で360゜以上の回転が可能であるという。また、すべての制御はPPMS本体から行われ、簡便かつ正確な測定が可能であるという。
 PPMSではサンプルを取り付けた試料台を装着台に差し込むことによって容易に試料交換を行える機構が採用されているが、ここには12本の端子が取り付けられている。今回の試料回転機構のオプションではこのうちの4本は試料基盤の裏面に取り付けられている温度センサーに使用されており、残り8本の端子を抵抗率やホール係数等の測定に用いることができる。したがって、PPMSの4チャンネル抵抗率測定オプションやAC輸送特性システムと組み合わせることによってDC、AC抵抗率、ホール効果やI-V特性の測定などが可能となる。QD社によれば、基本的な開発コンセプトは、最大限のフレキシビリティーを持ちながら有用で正確な測定系を提供することにあったという。
 参考までに図に今回の回転機構を用いて2Tの磁場中でYBa2Cu3Oyの薄膜試料の抵抗を磁場との角度を変化させながら測定した例を示す。
なお、QD社の海外セールス担当はBill Zoeckler氏で、連絡先電話番号は+1(619)481-4400である。またQD社の製品は同社のWWWホームページでも紹介されており、そのアドレスは http://www.quandsn.com/である。

右: 図 YBa2Cu3Oy薄膜試料の抵抗を2 Tの磁場中で回転させながら測定した例

(BBA)


[ 前の号へ| 前の記事へ| 目次へ| 次の記事へ| 前の号へ]