SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.1, Feb. 1996, Article 5

7万kW級超電導発電機実証試験設備完成間近 〜 冷凍装置の試験運転開始

 超電導発電関連機器・材料技術研究組合(略称Super-GM:理事長森井清二氏)は、通産省ニューサンシャイン計画の一環としてNEDO の委託を受け、かねてより関西電力(株)大阪発電所構内に7万kW級超電導発電機実証試験設備を建設中であったが、工事が順調にはかどり完成が間近にせまっている。
この試験設備は20万kW級パイロット機の1/3スケールである7万kW級モデル機の実証試験をおこなうためのものだが、試験設備の構成はM-G 方式を特徴としている。M-G 方式とは超電導発電機 を電力系統につながずに、超電導発電機(G)と負荷用同期機(M)とを機械的に直結し、超電導発電機の発生電力を負荷用同期機に供給し、負荷用同期機でその電力を機械力に変換して超電導発電機に供給するというもの。このため、様々な条件での負荷試験、長期信頼性試験さらに系統事故を模擬した三相突発短絡試験等の苛酷試験を行うことが可能。この実証試験を通して7万kW級モデル機の性能および信頼性を検証し、20万 kW級パイロット機の概念設計のためのデータ収集が行われる。
 この建設工事は平成6年6月M-G 架台の杭打ちで始まり、続いて建物の建設が行われた。M-G 架台の完成を待ち、平成7年3月に最大重量物の負荷用同期機(約160トン)が据え付けられた。その後機器据え付けは順調に進み、平成7年11月には 機器試運転電力を供給する77kV 受電設備の使用承認検査に合格し、その後受電が開始された。
 現在試験センター建設所には、試験棟、冷凍装置室、事務所棟の建物や77kV 受電トランスなどの受電設備が並び、長さ31m、幅12m、高さ4.5mのM-G架台上には負荷用同期機、駆動用電動機等が据え付けられ、完成間近という状況を呈している。冷凍装置室内にはコンプレッサー、オイルセパレーター等が設置され、単体試運転が始まった。コールドボックス の近辺ではHeトランスファーチューブの真空引きなどの作業が続けられている。今後、励磁装置等の残りの機器の据え付け・試運転、冷凍装置の単体試運転を続け、平成8年6月超電導発電機が現地に搬入される予定。
 平成8年10月開始予定の実証試験は、まず界磁巻線の高安定化を特徴とする低速応型A機(日立)で実施。続いて平成9年高電流密度型の低速応型B機 (三菱電機)、平成10年低損失型の超速応型C機(東芝)の試験が行われる。これらの実証試験により、超電導発電機実用化にむけて大きく進展することが期待され、すでに世界的な注目を集めている。
 Super-GM では、平成8年7月12日に「平成7年度研究成果発表会」をメルパルク大阪で開くとのこと。オーラル、ポスター発表約40件と正田英介東京大学教授、関西電力岸田卓也首席研究員の講演を予定している。また同時に開催される見学会では、超電導発電機、冷凍システム、試験用設備の据え付け状況をつぶさに見ることができそう。

研究成果発表会:7月12日(金)9時10分〜16時50分、
会場 メルパルク大阪(大阪市淀川区宮原4-2-1)
見学会:7月11日(木)10時〜17時30分、
内容__ 試験センター建設状況見学(大阪市住之江区)

右:実証試験設備全景

(K.E.)


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