SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.6, Dec. 1995, Article 8

ASC社クライオパワーコントローラ試験に成功

米国マサチュセッツ州Westborough のアメリカンスーパーコンダクター社(社長 Greg Yurek 氏)は11月7日、かねてから同社の商業製品として当面最大の規模となるとしてきた商標名 CryoPower の実スケールプロトタイプの試験に好結果を得たことを発表した。プレスレリースによると、CryoPower は高温超伝導体のインダクターと冷却された半導体パワーデバイスよりなる電力コンバーター。同社は来年2月までに75kWの市販製品ラインを揃える予定。同製品は小型、軽量、高効率に特長を持ち、大型機器の電力制御において従来98%の変換効率であったものが、99.9%にまで向上するとしている。サイズにおいてはこれまで小型バスほどあったものが机サイズになるという。社長の Yurek 氏は「このような電力変換器の世界市場は100kW以上のもので年間200億円程度と推定している。当社では1997年には CryoPower が利益を産み出すであろう」としている。
 このような電力変換器はモーター、運輸機器、電解工場、電力会社、SMES、AC/DC-DC/AC変換、冶金、などの分野で使われ、熱発生を伴わないため変換器の信頼性向上にも役立つものと同社は最初の大型製品として期待をかけている。
 湘南工科大学荻原宏康教授は「ASCからは追いかけるように、2.4kV限流器プロトタイプ実証試験の速報がきている。いい記録のでるスラローム大会にはいい前走者がいて、いいマラソン大会にはいいラビットさんが必要であるように、ASCの努力は現時点での開発研究では常に牽引車の役割をはたしてくれている。Yurek社長の言葉どおりのマーケットが実現するためには、たくさんの後続研究開発の成功による実証と、ユーザー側の積極的な関心が必要だ。コンバーターではここまでうまくいっている仕事は少ないように思う。このASCの成果を育てきるような環境があるといいのだが」とコメントしている。

(SSC)


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