SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.6, Dec. 1995, Article 3

2.4kV/2.2kA 限流器プロトタイプ開発成功 〜 Lockheed Martin 社など

 高温超伝導限流器は大容量化されると電力網への適用メリットがでてくるとされていた。これは超伝導限流器の応答が現在のブレーカーシステムより早く、電力網保護により有効であることと、すぐに自然回復させることができるためである。すでに我が国でも試作が行なわれ、本誌でも小型のものでの成功が報じられてきたが、 米国 Lockheed Martin Corp.,  南カリフォルニアエジソン、American Superconductor各社とLos Alamos国立研の共同開発により、DOE のSPI (SUPERCONDUCTIVITY PARTNERSHIP INITIATIVE) プロジェクトの第1フェーズの成果として実用ラインに近い容量での試作成功が報じられた。
 同社らは第 2フェーズでさらに DOE より開発費の半額の援助を受ける形で商用規模の試作器の製作にはいる予定。
 試作限流器では2.4kV/2.2kA容量で8ミリ秒での限流効果が観測され、最初の1周期の間に50%、定常状態では60%となった。新たな試作器は15kV/10.6kA容量となる予定で、最初の商用器は1997年中に開発の予定である。これはAmerican Superconductor 社製のビスマス系超伝導線材を用いており、線材そのものの特性はすでに商用応用のレベルに達しているという。
 ロッキードマーチン社は米国の軍需産業コングロマリットであったロッキード社とマーチン・マリエッタ社の合併によってできたばかり。全世界に15万人以上の従業員を有し、東西冷戦の終焉にともない民生技術への転回を模索している巨大企業である。

(SSC)


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