SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.5, Oct. 1995, Article 7

超高磁場高温超電導コイルコンテストへ

 科学技術庁は平成7年度からスタートした第2期マルチコアプロジェクトの目玉の一つとして、23テスラを越す超電導マグネットを開発し、それを 1GHz 級の高分解能 NMR (核磁気共鳴分析装置)の開発につなげる予定であるが、今年度末を目標に高温超電導線材・コイルの研究開発に携わっている各社に対してこのためのプロトタイプのコイルの提出を求め、コンテストを行なって、開発計画を絞り込んで行くこととなった。このため、金材研の現有する21テスラ大型超電導磁石へ挿入試験の可能なサイズ(高さ 100 mm, 直径 48 mm程度)の高温超電導コイルの製作提出が各社に依頼されている。
 今回のコンテストは最終的なものではなく、計画の実現方向を絞るためのものではあるが、5社程度がコンテストに応じる構えのようだ。コイル応用は当面パンケーキ型のものとなることが多いと考えられるが、パンケーキ型以外にソレノイド型の次世代につながるコイルのコンテストも含まれている。さらに、安定磁場を要求される NMR 用磁石として、超電導永久スイッチ(PCS)との結合も含まれるとのこと。各社にとっては、手ごたえのあるコンテストとなりそうであるが、特に PCS スイッチについてはまだ十分な検討が進んでいないだけに、今後、検討が急がれるところ。
 本プロジェクトの推進の中心的役割を持つ、金材研・強磁場ステーションの井上廉氏はこのコンテストについて「長尺の高温超電導導体に関し、各社が持っているベストの技術を出していただきたい。このコンテストにより、現在の技術水準が推定でき、今後の本格的応用開発の出発点とすることができよう。コンテストに現在参加していない企業でもコイルを提出していただければ、高磁場下でのデータを測定して差し上げることもできる」とコメントしている。

(SSC)


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