SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.4, Aug. 1995, Article 15

新刊紹介〜 恒藤敏彦著「超伝導の探求」(岩波書店:定価1800円)

超伝導発見者のオネスから高温超伝導体発見者のベドノーツ、ミュラーまで、超伝導を開拓してきた数々の研究者の背景や考え方、その苦悩が書かれており、超伝導研究の歩みを側面からわかりやすく紹介している。超伝導の不思議な現象の理解に、多くの実験と理論研究の積み重ねが BCS 理論として大成されていったことが読みとれる。 特にイリノイ大学のバーディーンのもとに留学した著者恒藤氏が体験された、BCS 理論発表直後のイリノイ大学の熱い雰囲気が伝わってくる。また その後のジョセフソン効果への展開の面白さも、引きつけるものがあった。BCS 理論が身についていないもどかしさを解消する一助になる、肩の凝らない本である。

(Wildcats)


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