SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, No.4, Vol.1, Feb.1995, Article 28

◇事務局より◇

発刊3年めをむかえて
 本誌「超電導コミュニケーションズ」(略称スーパーコム)は1993年12月、それまで親しまれてきた「日経超電導」がバブル崩壊に伴い財政的事情から休刊となったことをうけて、ボランティア体制で発行を続けてまいりました。予算的にも人的にも裏付けがなく、完全にボランティアによる記事収集と学生諸君による発送作業などの協力により、なんとかやってくることができました。現在このような超電導に関する情報誌は米国で商業誌が2誌(Superconductor Week, Superconductivity News)、およびエネルギー省からの支援をうけてAmes Lab. から発行されているHigh Tc Updateだけであり、その他の国には存在しません。私達としては、これら3誌に比してもユニークな編集を心掛けてきましたが、なんとか丸2年を経過し、3年目を迎えることができました。
 この間、低温超電導技術の進展、冷凍技術の進展、そして高温超電導における一部実用化の開始といった心強いニュースがありましたが、長引く不況の影響で企業の研究開発活動は思うに任せない状況が続いています。また、通産省と科学技術庁のプロジェクトは延長され、今後数年以上つづくことが確実となりましたが、一番早期に走り出していた文部省の超伝導研究プロジェクト(科学研究費補助金重点領域研究)は本年3月をもって終了し、1995年度はプロジェクト研究がなく、また、その後の見通しも立っていない状況です。高温超電導メカニズムの研究がいよいよ面白い局面に入り、また超電導特性特性の基礎科学・工学が発展を始めた時期にこのような事態を迎えることは残念ですが、今後関連者の努力により大学における研究が困難をきたすことのないよう願っているものです。
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