SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, No.4, Vol.1, Feb.1995, Article 16

SQUID新製品を次々と販売開始 〜 CONDUCTUS社

 米国Sunnyvaleに本社をもつ高温超電導ベンチャー、Conductus社は昨年来、DC SQUIDを用いた測定装置の販売を次々と始めた。まず、i-MAGシリーズはDC SQUIDをフラックスフロードループと制御用エレクトロニクスと組み合わせてシステムとして売り出したもので、日本国内での標準品で450万円から。
 これはNbを使うものと、77Kで高温超電導DC SQUIDを使うものとがあるが、同社の発表によれば、YBCO高温超電導SQUIDを用いるものも、2〜3年前の市販ヘリウム温度SQUIDと同等の性能をもち、脳磁気研究以外の殆どの用途には不足がないはずという。これは我が国の新光社(株)の作るSrTiO3バイクリスタルを用いてエピ成長させたYBCO薄膜の粒界結合を利用する(IBMの開発したプロセス)もので、カリフォルニア大バークレー校のJohn Clark教授の指導を受けて開発されたもの。技術坦当マネージャーのJohn Rowell氏は各種学会で「研究の最先端性能をそのまま市販品にした」と豪語している。i-MAGシリースは1個のSQUIDによる磁束計であり、研究者向け、あるいはシステムメーカーへのOEM供給を目論むものである。同社はさらにこれを多チャンネル化して岩石や環境研究用試料、あるいは心臓の磁気イメージングをつぎの展開として考えているという。
 一方、同社はこれまでQuantum Design社の独壇場に近かったSQUID式磁化率測定装置市場に、初めてDC SQUIDを用いた製品をやはりClark教授の指導のもとに開発し、Chi-MAGシリーズとして販売を開始した。同社によれば、DC SQUD を用いたために感度がより高く、また、工場内などでの雑音に強いという。定価も他社製品より若干低くつけられており、同社の意気込みが伺われる。
 さらに同社はRho-MAG シリーズとして、SQUIDを用いて非接触で抵抗やインダクタンスを測定し、2次元走査マッピングのできる装置も市販を開始した。SQUIDを利用した抵抗測定装置であるRho-MAGは10-5 Ωレンジで10-10 Ωの分解能をもつ、超精密な測定が可能とされ、金属、半導体ウェーハから絶縁体ウェーハまでの測定に応用できるということである。
   Conductus社は高温超電導関連の公的研究の数多くの プロジェクトに関与し、そこから研究開発費を得る とともに上記のように最先端の測定器の市販を開始するなど、米国のベンチャーとして高温超電導の実用化を目指して設立されて以来、活発な動きが注目される。
 なお、同社の日本代理店は仁木工芸(株)(Tel: 03-3456-4700)。
写真 高温超電導DC-SQUID磁束計(i-MAG)

(Shot noise)


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