SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, No.4, Vol.1, Feb.1995, Article 14

磁気共鳴イメージング技術向上に米政府支援 〜 Intermagnetics社とDu Pont社との共同研究プロジェクトに570万ドル

 高温超伝導のセンサーコイルを用いることによって、核磁気共鳴の際のマイクロ波吸収の測定が高感度で行なえることが示され、これによりMRI装置の高感度化、あるいは低磁場化による小型化が図れることが期待されている。我が国ではこのような実用化と密接に関連した応用開発には国が支援することはなくなっているが、米国では商務省のプロジェクトとしてNIST経由で支援がなされることとなった。
 プロジェクトは Intermagnetics 社と Du Pont 社との磁気共鳴システムに関する共同研究として行なわれ、米国商務省から資金援助が与えられることが昨年11月21日に明らかとなった。この資金援助はATP (Advanced Technology Program)の一環として行なわれるもので、今後5年に渡り、総額約570万ドルが支給される。
 ATPは商業的価値のある技術に関する調査・研究に対して援助を行なうものであり、NIST(National Institute of Standards and Technology)によって運営されている。その選考においてはその科学的意義だけでなく、その商業的発展の可能性が重要視されている。今回の資金援助ではIntermagnetics 社が製造する磁気共鳴イメージング装置(Magnertic Resonance Imagingya)や核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)分光器にDuPont社の高温超伝導高周波技術を取り入れ、その性能を向上させることを目標としている。このプロジェクトの成果次第では、すでに医療や科学研究における分析技術において重要な役割 を担っている磁気共鳴デバイスが、食料加工産業や石油化学産業といった数百万ドルにおよぶ市場に展開する可能性がある。

(JON)


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