SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, No.4, Vol.1, Feb.1995, Article 12

STI社高温超伝導フィルターを出荷

  米国加州サンタバーバラに本拠地を置くベンチャー Superconductor Technologies Inc.(STI) 社は1994年12月19日、具体的社名を明かさなかったがアジアの電話会社に個人携帯電話用ネットワークのためのプロトタイプ恒温超伝導2GHzフィルターと低雑音増幅噐を出荷したことを表明した。電話会社によりシステムとして完成される。同社は、さらに、本年初頭には米国内無線地上局機器メーカーへ向けてのフィルターシステムの出荷が予定され、その完成が間近いことを明らかにした。
 同社社長D. Hu氏はこれに関連して「このフィルターはセルラー通信および個人通信(PCS/PCN)の両方にメリットがある。干渉あるいは雑音による信号劣化がある場合、我が社のフィルターはより明瞭な信号をえることに役立つ。しかも、非常にコンパクトなシステムだ。他社は政府コントラクトや研究組合を通じて第1号機の開発をしようとしているが、我が社はセルラーおよびPCS/PCN双方とも民間の指導的企業からの注文を受けて開発している。このためユーザーとの連携は密接で、技術的リードを確かなものとすることができた」と述べた。
 米国および多くの諸国ではPCS/PCNはまだ発達しはじめたばかりであるが、欧州諸国ではすでにこのネットワークが確立している。米国ではPCSがセルラー通信サービスの代替として開発されている。米国のセルラー通信は各マーケット地域に2つのサービス会社を置き,850MHz帯を使う。これに対し,PCSシステムは2GHz帯を使う。昨年12月 Federal Communication Commission は各地域ごと5社の電話(voice)サービス会社に対しPCS周波数帯のオークション販売を始めた。年率約30%で伸びている米国内セルラー通信機器に加えて,PCSサービス会社は今後数百億円にのぼる投資を行うことになっている。米国では新規電話番号設置の2/3が無線電話である。
 米国情報筋によれば多くのアジアおよび第三世界のマーケットは,米国内マーケットよりさらに有望である。その理由はこれらの国では地上線を使う電話網を経ずに,より包括的な無線通信ネットワーク構築に直接向かいつつあるからである。

(proximity)


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