SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.1, Feb. 1996, Article 12

米国で移動体通信用高温超電導フィルターの試験成功報道盛ん 〜 ISC 社、STI 社、コンダクタス社など

 このところ、米国では次々と移動体通信用高温超電導フィルターを用いた受信機用冷凍機付きサブシステムの試験成功が報道されている。これらは薄膜作成、デバイス、システム、通信業者などが手を組んでの開発研究が多く、コンダクタス社と AT&T のチーム、Superconductor Technologies, Inc (STI) とSteinbrecher Corp.および Westinghouse 社のチーム、Illinois Superconductor Corp.(ISC) と Ameritec Cellular Services のチーム, Superconducting Core Technologies(SCT) 社と Nokia Tellecommunications Cellular Systems のチームなどといった具合だ。これらの公表結果はいずれも、ノイズレベルの低減、感度の向上、クロストーク防止効果の大幅改善、などを伝えるものである(前号、前々号にも関連記事)。これらの結果は通信回線数の増大、地上局の間隔の延長、同一区域内でのより多くの通信業者の収容といった点で、地上局システムの総合性能向上を主張するものである。それぞれの開発チームは DOD を中心とする国の支援を受けており、本年ないしは来年中には商用システムの開発を計画する段階に至っているとしている。例えば、STI 社は昨年12月空軍に冷凍機冷却型フィルターバンクを納入、Wright-Patterson 空軍基地において電子兵器用の試験に入る。
 これは、同社が特許を有する光スイッチを備えた 24 個のバンドリジェクトフィルターよりなるもので、これまで悩まされていた妨害電波からパイロットの判断を守るためのもの。
 性能のさらなる向上のためには、よりハイパワーを扱えるようにするための改善、およびノンリニアな特性への対処といった事項が挙げられており、より完全な薄膜作成のプロセスや YBCO 以上の特性を示す材料の開発なども依然として必要な研究項目と考えられている。

(JJY)


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