SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.4, No.6, Dec. 1995, Article 12

マイクロホール素子の販売開始 〜 同和鉱業

 量子化磁束のダイナミクスの解明や超電導線材の臨界電流密度の向上が叫ばれている今、高温超電導体の混合状態における磁気的特性を把握することは非常に重要であることは周知のとおりである。これまで超電導体の磁気特性の評価は主にバルク全体の測定によるものであったが、高温超電導体の混合状態における磁束の振る舞いを知るには、このような測定のみでは不十分となってきている。そのようなわけで高温超電導体の局所磁化を測定する試みが最近盛んである。だが、磁気光学法や磁気修飾法のような従来の方法では様々な制約がある。磁気測定が手軽に行えるものとしてホール素子が挙げられるが、従来のホール素子の大きさはミリメートルのオーダーであり、微小領域の磁場測定には不十分と言われていた。
 そのような声を受け、同和鉱業から局所的な磁場の測定用としてマイクロホール素子が発売された。この素子の磁場の受感部分の大きさは50ミクロン角である。これまでの通常の市販のホール素子の大きさは0.5ミリ角であるから、面積にして1/100も小さくなったことになる。研究室レベルではサブミクロン角のホール素子が製作されているが、市販品では最小である。測定磁場範囲が5テスラまで、動作温度範囲が1.5Kから350Kまでと適用範囲がかなり広い。強磁性体など超電導体以外にも応用が期待される。このホール素子はスロバキアのメーカーにより製造されたもので、同和鉱業は日本での総代理店である。
 このホール素子を走査することにより、磁場下でのイットリウム系溶融体超電導体の磁化の測定を行ったところ、従来の素子よりも高い空間分解能で試料の磁場分布が得られている。
 このホール素子のほかにも仕様の異なるものがいくつか販売されておりそれらの価格は10万円前後である。それらに加えて、同和鉱業ではこの素子を走査することにより3次元の磁場分布を測定できる装置の販売も行う。この装置では素子をX , Y, Z軸それぞれ1ミクロン間隔で走査することができる。
   問い合わせ先:同和鉱業(株)超電導開発センター 長谷山秀悦氏    TEL: 03-3201-1076 FAX: 03-3201-7945

図 ホール素子の概略図  左:LHP-NP 右:LHP-NA

(Evangelist)


[ 前の号へ| 前の記事へ| 目次へ| 次の記事へ| 次の号へ]