SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, No.4, Vol.2, Apr.1995, Article 7

95年英国イノベーション・レクチャーにオクスフォード社 Williams 氏

 英国政府は毎年産業界より"Innovation Lecture" として、全国放映により「企業の技術革新の精神」を語ってもらうための講師を招聘している。95年の講師としてオクスフォード・インスツルメンツ社代表取締役の Peter Williams 博士が選ばれこのほど講演を行った。
 同氏は超電導に関連する科学技術上の革新がどのようにビジネスの革新につながり、健全な超電導産業の市場を作り出してきたかに焦点をあてて講演を行った。超電導は 1911 年に発見されたものであるが、その純粋科学的な興味が大きかったために、60 年もの間超電導技術を応用した機器が出現しなかったにもかかわらず、超電導そのものの研究に機器を供給することで超電導産業は生き延びて来られた。
 しかしながら、1970 年代初頭に化学分析のための NMR(核磁気共鳴)分光器応用されたとき、超電導産業がいかに大きな変化を遂げたかを同氏は述懐した。2-3 年のうちには NMR 技術は人体の非侵襲イメージングに応用できることが分かり、現在では世界中の病院に毎年 1000 台ほども大口径の超電導磁石が出荷されている。
 同氏によれば、超電導応用におけるこのような革新は超電導における基礎科学の隆盛と相俟って、1980 年以来の超電導産業を 10 倍もの規模に育て上げた。
 本講義において Williams 氏は超電導産業がいかに、大学と私企業の協力と製品の市場開拓における革新が社会に多くの利益をもたらせた好例であるかを強調した。

(Rawlinson)


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