電力の流通設備建設にあたっては、都市部では利用できるスペースが限られる事や建設コストの低減のため、さらなる効率化が求められており、内径150 mmの既存の地中管路に布設可能なコンパクトな高温超電導ケーブルの実用化が望まれている。このような情勢のもと、東京電力と住友電工は、これまでに7 m/1000 Aの三相一括型ケーブルモデルや30 mで66 kV/1000 A仕様の単相ケーブルの試作・試験など、超電導ケーブル実用化を目指した要素技術開発を進めてきている。今回のプロジェクトは、これらの研究成果を活用して、長さ100 mの三相一括型ケーブルを試作して、実適用に近い状態で1年にわたって課通電試験を続け、その性能を検証するという。今回のプロジェクトを推進している東京電力電力技術研究所超電導グループの本庄昇一主任研究員は、「これまで超電導ケーブルの要素技術開発を進めてきたが、コンパクト化を目指した三相一括型高温超電導ケーブルでは、端末部分でのシールド層の短絡処理、三芯導体の冷却収縮対策、長期にわたる冷却システムの運転特性など、システムとしての課題も多く、これらに対する研究評価が必要であることから、今回の試験を実施することになった。」と述べている。
今回開発を目指しているのは、Bi2223系線材を用いて、長さが100 mで66 kV/1000 A級の三相一括型高温超電導ケーブルシステムであり、コンパクト化を目指した低温絶縁タイプの超電導ケーブルの長期試験は世界でも初の試みとなる。プロジェクト期間は平成11年10月〜平成15年3月で、前半はケーブルの開発を行い、実際の課通電試験は電力中央研究所横須賀研究所において、平成13年6月からスタートする予定という。
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