超伝導用語事典



Y-Ba-Cu-O系
Y-Ba-Cu-O system

元素Y,Ba,Cu,Oで構成される酸化物高温超伝導体。Y系ともいう。YBa2Cu3O7-δ(超伝導臨界温度Tc〜90K),YBa2Cu4O8(Tc〜80K),およびこの二つが交互に積み重なった構造のY2Ba7Cu11O15-δ(Tc〜90K)がある。いずれもYサイトは他の希土類元素で完全な置換が可能である。二重になったCuO鎖を有するYBa2Cu4O8は,酸素が出入りしにくいため、YBa2Cu3O7-δよりも安定な物質である。


YBa2Cu3O7-δ
YBa2Cu3O7-δ system

超伝導臨界温度Tcが液体窒素温度(77.3K)を初めて超えた酸化物高温超伝導体。Tc〜90Kである。Yサイトは他の多くの希土類元素で完全な置換が可能であり、Tcもほとんど変化しない。2枚のCuO2面と1本のCuO鎖を有する。CuO鎖の酸素の出入りは容易で,酸素量の減少とともにホールキャリアが減少し,Tcは低下し,さらに酸素量が減少すると反強磁性絶縁体になる。


ワインドアンドリアクト法
wind and react method

超伝導線材を用いてマグネットを作製するときの熱処理法の一つ。Nb3Snや酸化物超伝導体などの化合物超伝導線材において,超伝導体を生成させる熱処理を,コイル巻き線時における線材の曲げ径が,線材の断面寸法に比べて十分大きくないときは,線材に過大な曲げひずみが導入されて超伝導特性の劣化が起こるが,これを避けるために用いられる。この場合,線材間の絶縁は,ガラスや石英繊維など,耐熱性のものが用いられる。