超伝導用語事典



ローレンス・ドニアックモデル
Lawrence-Doniach model

ギンツブルグ・ランダウモデルを層状超伝導体に適用したモデル。層内は連続的なギンツブルグ・ランダウモデルを用い,層に垂直方向には,これを離散化したモデル。特に異方性の大きな層状超伝導体を良く記述する。


ロンドン兄弟
London brothers

ロンドン理論参照


ロンドンゲージ
London guage

電磁場のベクトルポテンシャルAμ=(A0,A)はゲージ変換によって
AμAμ+∂φ/∂xμ
と変換されるが,物理的量である電磁場FμV=∂μV-∂VAμは普遍に保たれる。これをゲージ不変性という。ゲージの自由度を固定するためにはベクトルポテンシャルに対して,ある条件を設定する必要がある。その中の一つでA=0の条件を課した場合をロンドンゲージと呼ぶ。このゲージではAは横成分のみを含み、スカラーポテンシャルA0と分離するという利点がある。


ロンドンの超伝導体
London superconductor

ロンドン理論はコヒーレンス長ξが磁場侵入長λよりも十分短く、系の電磁応答を局所的な方程式(ロンドン方程式)で記述できる超伝導体に対して適応できる。このような超伝導体のことをロンドン超伝導体といい、ξλが、この関係を満たすときに系は第2種の超伝導体となるので、ロンドン超伝導体は第2種の超伝導体とほとんど同義語と考えてよい。


ロンドンの侵入深さ
London penetration depth

超伝導体に弱い外部磁場を印加してもマイスナー効果のために磁場は試料内部に入らず表面からある距離λだけ侵入することができる。この距離のことをロンドンの侵入長(深さ)という。数学的にはロンドン方程式
J=-A/μ0λ2
(μ0:真空の透磁率、J:電流密度、A:ベクトルポテンシャル)と定常状態に対するマクスウェル方程式
×B=μ0J
とからx>0の半無限の試料にy方向に磁場をかけたときB(x)の満たす方程式として
d2B(x)/dx2=B(x)/λ2
を得る。この方程式の解はB(x)=B(0)e-x/λで与えられるからλはまさに侵入長を与える。λは超伝導電子密度ρsと1対1の関係(λ-2ρs)にある。


ロンドン方程式
London equation

現象論的理論において、超伝導状態を記述する方程式。この方程式は、超伝導のもっとも顕著な特徴である完全反磁性(マイスナー効果)を説明するために、F.LondonとH.Londonによって提出された。この理論に従えば、超伝導状態にある抵抗を受けない電子(質量m、電荷q、個数n)は、電場Eの存在下では、(m/nq2)dJ/dt=Eに従う。ここで、Jは電流密度である。
また、磁束密度B=μ0Hに対しては(m/nq2)rotJ+μ0H=0なる関係が成立する。これらの式をロンドンの第1および第2方程式と呼ぶ。第2方程式において、マクスウェル方程式rotH=Jを考慮すると、μL22H=HμL=(m/nq2)1/2が得られる。μLはロンドンの磁場侵入度と呼ばれ、外部印加磁場が超伝導体表面の深さμL程度にしか侵入しないことを意味する。


ロンドン理論
London's theory

1935年に出された超伝導体の電磁気的性質を議論するためにF.LondonとH.Londonの兄弟によって提出された理論。超伝導体における電流密度JとベクトルポテンシャルAがロンドンゲージで
J=-A/μ0λ2
という局所的な関係(ロンドン方程式)で結ばれていると仮定する。ここでλはロンドンの磁場侵入長、μ0は真空の透磁率。これは横成分(波数qに垂直成分)に関する関係式であることに注意する必要がある。この式からマイスナー効果が導かれ、λが表面からの磁場の侵入できる距離であることがわかる。