超伝導用語事典



大型超伝導ソレノイド磁石
solenoidal magnet

高エネルギー粒子の衝突実験において、生成した粒子の軌道をソレノイド磁界によって曲げて、運動量を分析する為に用いられる大型の超伝導ソレノイド磁石。発生磁界は1T前後である。粒子がソレノイドを貫通し、外部の測定器によって計測されるよう、ソレノイドはなるべく肉薄にしたい場合が多く、主にアルミニウムで安定化した線材が用いられる。


オーダパラメータ
order parameter

一般に相転移は対称性の破れを伴っており、高温の無秩序相では0で低温の無秩序相では有限値を取るような変数を定義することが出来る。これを秩序変数(オーダパラメータ)という。例えば、強誘電体では電気分極Pが、強磁性体では磁化Mがオーダパラメータである。これらの例では破れる対称性及びオーダパラメータが明らかであるが、超伝導の場合は自明な問題ではなく現象の発見以来その解決に長い年月を要した。今日では超伝導はゲージ対称性が破れた状態で、電子対(クーパー対)の振幅がオーダパラメータであることが分かっている。


重い電子系
heavy Fermion system

希土類元素CeやアクチノイドUを含む化合物で、低温においては大きな電子比熱を示す物質がある。系はフェルミ流体として振る舞い、その比熱は温度に比例するがその係数が自由電子の値の約1000倍にも達する場合がある。これは電子の有効質量が自由電子の質量の1000倍近くも大きくなっている事を意味し、重い電子系と呼ばれている。質量が大きくなる理由は電子間のクーロン相互作用にあると考えられており、強相関電子系の代表例とされ、その磁性と伝導や多彩な相図が盛んに研究されている。特に重い質量にもかかわらず低温で超伝導を示す物質も発見され異方的超伝導の可能性も検討されている。


温度波
thermal wave

第二音波と同義