超伝導用語事典



結合時定数
coupling time constant

多心超伝導線材における結合電流の減衰時定数のこと。結合損失を低減するにはこの結合時定数を小さくする必要がある。ツイスト加工した多心線材においては、結合時定数はフィラメントに垂直方向の常伝導マトリクスの抵抗率に反比例し、ツイストピッチの2乗に比例するので、時定数を小さくするにはマトリクスとしてCuNi合金などの高抵抗のものを使い、できるだけツイストピッチを短くするのが有効である。


結合電流
coupling current

多心超伝導線材において、電流を増減させたり、あるいは交流電流を流すと、電磁誘導によって常伝導マトリクスを通って超伝導フィラメント間に電流が流れるようになるが、この電流を結合電流といい、これによるマトリクス中におけるジュール損失を結合損失と言う。この場合、線材はあたかも一つの太い超伝導体のように振る舞い、多心化した効果が薄れてしまう。結合損失を低減するには線材にひねるを与える(ツイスト加工)のが有効である。


原子層制御蒸着
layer-by-layer deposition

原子分子を原子層単位で基板上に積み上げ、望む構造と組成を持った薄膜を作成する方法。多元のターゲットや蒸着源を有するスパッタリング法、レーザーアブレーション法、分子線エピタキシ(MBE)法などで行われる。酸化物高温超伝導体のように層状構造をとる物質に有効である。