超伝導用語事典



飽和現象
saturation phenomena

要素的ピン力やピン止め密度を増加させても、ピン力密度が増加せず飽和してしまう現象。このピン力密度の飽和現象は、特に臨界電流密度の大きい実用超伝導体において、上部臨界磁場に近い高磁場領域で起きる。


ボーズ凝縮
Bose condensation

ボーズ粒子系はその波動関数が粒子交換に対して対称であるが、この結果同じ一粒子状態にいくらでも粒子を詰めることができ低温では巨視的な数の粒子が最低エネルギーの一粒子状態に落ち込むことになる。これをボーズ凝縮と呼ぶ。相互作用がないボーズ粒子系で各一粒子状態αを占拠する粒子数のnαはボーズ分布関数で与えられる。
nα=(eβ(εα-μ)-1)
ここで、β=1/(kBT)であり、μは化学ポテンシャル、εαは1粒子状態のαのエネルギーである。この分布関数に従って粒子を詰めるとある温度以下でμが最低1粒子状態エネルギーεα=0に一致し、巨視的な粒子数がα=0の状態に凝縮する。ポテンシャルのない場合は、αは波数ベクトルkによって指定される平波状態であるから、ボーズ凝縮は空間的には広がったk=Oの状態に対して起こる。局在した状態へのボーズ凝縮は、実際には存在する粒子間の斥力のために起こらない。


ボーズ流体
Bose liquid

相互作用しているボーズ粒子系のことをボーズ流体と呼ぶ。粒子間の相互作用は引力だと系が不安定になるので、斥力のみが物理的である。ボーズ流体の最大の特徴は、その低温における超流動であるが、この現象はボーズ凝縮と密接に関係している。つまり、空間的には広がったk=0の状態に巨視的な数のボーズ粒子が凝縮する結果、巨視的なレベルで位相のコヒーレンスが発生し、それが超流動をもたらすわけである。超流動に対しては、2流体モデルやボゴリウボフ理論などの理論がある。