質問(しつもん)コーナーの答えだよ!
みんなの疑問(ぎもん)は解けたかな?
まだわからないところは、インストラクターに聞いてください。
最後に、ぜひクイズにも挑戦(ちょうせん)してね!
Q.超伝導は環境問題に役立つの?
A.
1. 海などが真っ赤になる赤潮、アオコなどの浄化、排水処理(はいすいしょり)、ごみのリサイクルなどに役に立つだろうって期待されています。
2. 超伝導を利用した送電システム(みんなの家に電気を送ったりすること)、電力貯蔵システム(電気を貯めたりすること)により、電気を今よりも上手に使うことがでる。
3. リニアモーターカーにより環境に優くて省エネルギーで速い乗り物が実現できる。
4. 超伝導体によりもっとすごいコンピュータが作れる。
Q.どんな物質でも温度を下げたら超伝導になるの?
A.
そういう訳ではないよ。電気抵抗がゼロにならない物質のほうがむしろ圧倒的に多いのです。でも、みんなも聞いたことがあるようなたくさんの金属も低温にすると超伝導を示すことがわかっていて、超伝導は決して異常な性質ではないんだよ。
Q.液体ヘリウムって何ですか?
A.
ヘリウム元素は元素記号Heで表記され(周期律表見たことあるかな?)、原子番号2の、非常に軽い元素です。空気(主に窒素でできています)よりも軽いため、気球や風船を浮かすガスとしてよく用いられているよ。吸ったりすると声が変わったりするので有名だよね?(でもあまりやらないほうがいいよ)。
沸点(気体が液体になる温度)が非常に低く、絶対温度 4 K(ケルビン)という非常に低い温度で液体になります。4 Kと言ったら、℃になおすと約「−269℃」になります。大変な低温ですね。液体窒素の温度(約77K)よりも数段低い温度です。
ヘリウムの液化は1908年、「カマリング・オネス」というオランダの学者が成功させました。オネスは、この液体ヘリウムで冷やして、水銀の抵抗測定を行った結果、絶対温度 4 K ぐらいで水銀の電気抵抗がゼロになることを発見しました。これは1911年のことで、超伝導の発見です。その後オネスは、1915年にノーベル物理学賞を受賞しました。
Q.超伝導って磁石と仲が悪いのですか?
A.
磁石からはN極からS極へと、磁力線(じりょくせん)と言う線が出ています。それにより磁場というものが発生します。超伝導は、この磁場をはじく特性(マイスナー効果)を持っているので、そういった意味では、磁石と仲が悪いといえるもしれません。しかし、銅酸化物などの高温超伝導体は、磁束ピニング効果と言って、逆に磁場を取り込むといった特性も持っています(磁石が浮いたりするのはこの性質だよ)。そういうことを考慮すると、一概に磁石と仲が悪いとも言えません。
Q.リニアモーターカーが完成したら東京−大阪間は何時間かかるの?
A.
リニアモーターカーの最高時速は現在1時間に552キロメートルです。東京から大阪間の距離を大体550キロメートルとすると、単純な計算ですが、550÷552≒1、すなわちおよそ1時間で到着します。現在では新幹線で東京から大阪まで約3時間かかるのでリニアモーターカーはそのおよそ3分の1の時間で行くことが出来ます。
Q.超伝導の研究ってどこでやっているの?
A.
主に大学の研究室・企業の研究所や国立研究所などで行われています。国内で最も大きな研究所としては、「国際超伝導産業技術研究センター(ISTEC)」が有名です。ホームページのアドレスは以下です。
(http://www.istec.or.jp/SRL_homepage/SRL_ISTEC/cecter_indexJ.html)
その他には、インターネットのリンク先を探してみてね。
Q.超伝導で象は浮くの?
A.
まだ実験した人はいませんが、間違いなく大丈夫です。
ISTECのホームページには人が浮いている画像が掲載されています[1]。また、現役力士の土佐ノ海も宙に浮きました。ちなみに土佐の海は体重159kg[2]だそうです。
Reference
[1]http://www.istec.or.jp/SRL_homepage/SRLmain_top-J.html
[2]http://homepage1.nifty.com/tosarin/profile.html
Q.高温超伝導体は毒なの?
A.
高温超伝導体という物質ではその中の元素で毒性が強いものがあります。(たとえば水銀HgやタリウムTlなど)しかし、それら関してしっかりとした知識を見につけた人達が取り扱って作っているで、皆さんの前に出てくる超伝導体は危険なものではありません。でも、なめたり食べたりはしないで下さいね。病院の人間ドックのX線検査で使われているバリウムも硫酸バリウムだからこそ安全です。硫酸バリウム以外は、猛毒です。
Q.液体窒素ってどうして冷たいの?
A.
液体窒素は読んで字のごとく窒素を液体にしたものです。液体窒素を作るにはその窒素を冷やさないといけません。温度でいうと絶対温度77度(摂氏-196℃)まで冷やさないといけません。だから液体といっても-196℃、非常に冷たいのです。バナナやバラの花が凍ったりするのを見たことあるかな?
Q.超伝導の星はあるの?
A.
現在のところ見つかっていません。しかし太陽などの恒星から十分離れた寒い惑星や衛星ならばその星の成分によっては超伝導になっているかもしれません。例えば、水素だけで出来ている巨大な星では水素原子が金属になって超伝導になっていると予想されます。
また、中性子星という特殊な星では、中性子が超流動状態となって、地球磁場の1兆倍ぐらいの磁場を発生しているのではないかと考えられています。
Q.超伝導のテレビってあるの?
A.
現在のところありません。もしあればどんなことが出来るでしょうか?皆さんも考えてみて下さい。
Q.リニアモーターカーって速いのですか?
A.
リニアモーターカーの最大時速は有人で552km/h(平成11年4月14日に記録されました。有人というのはお客さんが乗ったと言う意味です)なので東京−大阪間550kmはおよそ1時間で行くことが出来ます。
Q.超伝導のアンテナはあるの?
A.
はい、あります。アンテナに超伝導体を使うと非常に感度のいいアンテナができます。たとば、携帯電話(けいたいでんわ)の基地(きち)局に超伝導アンテナを使うとつながりやすく,範囲も広くなります。
Q.超伝導は宇宙でも利用できますか?
A.
すごく良い質問です。超伝導は空気がなくても起こりますから、宇宙でも超伝導はつかえます。宇宙では空気がないので温度は非常に低くなっています。ですから、低温でしか使えない超伝導は、地球上よりかえって宇宙のほうが使いやすいのです。宇宙船や宇宙ステーションなどで応用が期待されています。
Q.超伝導体って自然界にあるの?
A.
多くの金属は単体で超伝導体になります。ですから鉛や水銀は自然界に存在する超伝導体といえます。ただし、酸化物の高温超伝導体のように複雑な化合物は、自然に出来る確率は極めて低いでしょう。物理学者や化学者が、一生懸命探して作り出した人工的な物質が、高い機能を示す超伝導体のようです。
Q.超伝導体って簡単に作れるの?
A.
高温超伝導体の多くはセラミックス材料で出来ており、原料(試薬)さえあれば、思ったより簡単に作れます。原料となる金属酸化物を混ぜて、瀬戸物を焼く電気炉で加熱すると出来ます。材料と電気炉があれば誰でも作れますが、いろいろ注意しなければいけない点があるので、先生の指導を受けながらでないと危険なこともあります。
Q.超伝導体って高価なの?
A.
単体の金属としてはそれほど高くありません。薬品(試薬)メーカーで買うことが出来ます。しかし、酸化物の高温超伝導体は特性にもよりますが決して安価ではありません。特に、セラミックスはもろくて硬いので加工が難しく特殊な技術が必要なので,線材などにすると高価になってしまいます。
Q.超伝導体ってお店で買えるんですか?
A.
ふつうの薬屋さんとかスーパーマーケットでは買えません。でも、大学や会社の研究所の人たちは試薬(しやく)メーカーなどからお金を払って購入することが出来ます。特性や量によって値段はまちまちです。
Q.身の回りに超伝導体ってあるの?
A.
家庭のテレビや電話にはまだ超伝導体は使われていませんが、将来、使われるようになるかもしれません。ところで、皆さんの財布にある一円玉はアルミニウム製ですから、非常に低い温度(絶対温度1.2 K)では超伝導になります。
Q.超伝導があると,生活が便利になるの?
A.
電気抵抗がゼロになりますから、電気エネルギーを効率よく使えるようになります。また、リニアモーターカーなどの乗り物にも使われますから、応用が実現すれば生活も便利になるでしょう。
Q.冷やさなくてもいい超伝導ってあるの?
A.
冷やさなくても良い、すなわち、室温で使える常温超伝導体は多くの研究者や技術者の夢です。残念ながらまだ見つかっていませんが、非常に夢のあるテーマだと思います。みなさんが大人になる頃には見つかっているかもしれません。いや、皆さん自身が発見することに挑戦してみてはどうでしょう。
Q.赤や緑の超伝導体ってあるのですか?
A.
あったら楽しいでしょうね。でも残念ながら、そのようにカラフルな超伝導体はほとんど無いと考えられています。
少しむずかしい説明になりますが、超伝導体とはいえ室温では金属がほとんどです。ドゥルーデという物理学者のモデルによれば、金属はある特定の周波数(プラズマ周波数)より低い電磁場を全反射してしまうという特性があります。そのため、緑や赤といった単一の色のみが目立つ超伝導体はあまり期待できません。(すっごく難しいかな)
Q.超伝導の屋根ってあるんですか?
A.
今のところ、提案されていませんが、もしあったらどんな面白いことが起こるでしょうか?超伝導ではなく、太陽電池の屋根だったら、皆さんもご存じですね!
Q.地球の中心部は超伝導になっているの?
A.
いいえ。超伝導はせいぜい-100℃よりも低い温度でしか実現されていないので、約6000℃であることが知られている地球の中心部で超伝導体があるとは考えにくいことです。しかし、銀河系の彼方、恒星から非常に距離の離れた星では、超高圧の星の内部で超伝導が起こっていることも十分考えられます。例えば”金属水素”で出来ている星があれば、1000℃以上でも超伝導が起こっていても不思議ではありません。
Q.超伝導のコンピュータってあるの?
A.
ピンポーン! 超伝導を使うと、ものすごく高速なコンピュータが出来ることがわかっており、世界中で研究がさかんに行われています。少し難しい説明になりますが、計算速度が理論上圧倒的に速い上に、超伝導コンピュータは熱をほとんど発生しないために、超小型の回路が作れるからです。今のところは、大きな研究所や大学で使う大型のコンピュータの開発が中心ですが、将来は、皆さんの自宅や携帯で使うことの出来るパソコンが完成するかもしれません。
Q.超伝導を使うと電気代がタダになるのですか?
A.
面白い質問ですが、残念ながら答えは”いいえ!”です。超伝導を使っても、電流を泉から湧き出るかのように無限に作り出せるということではありません。超伝導を使うことによるメリットは抵抗がないということにより、送電する時にジュール熱による損失がないということなのです。そういうわけで、従来の方法よりも電気代は安くなるとは思いますが、無料になるということはないのです。
Q.今、超伝導は、はやっているの?
A.
1986年の高温超伝導体発見時の超伝導フィーバーが再び復活しそうな気配があります。今年(2001年)はじめに発見されたMgB2という物質が超伝導という分野で、再度世界の注目を集めています。
Q.超伝導のモーターってあるのですか?
A.
あります。モーターのようなエネルギー機器には電流を流す導体が必要で、従来は銅やアルミニウムなどが用いられてきましたが、これを超伝導体で置き換えることで、抵抗で発生する熱損失を無くし、機器の効率を上げることが出来るわけです。モーターの他にも超伝導を利用したエネルギー機器には次のようなものが考えられ、実用化されているものも多く有ります。
超伝導電力送電ケーブル、超伝導発電機、超伝導電力貯蔵、リニアモーターカー(磁気浮上列車)など。