SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No.2, April. 2009

36.5 MW HTS船舶推進モーター、全出力試験を完了!          _AMSC社_



 アメリカンスーパーコンダクター(AMSC)社とノースロップグラマン社は、米国海軍のために開発した36.5 MW(49,000馬力)HTS船舶推進用モーターの全出力試験を完了した。今まで海軍がHTSモーターの開発に費やした概算100万ドルの大多数は、36.5 MWモーターに費やされた。AMSC社は、このモーターは燃料効率アップと海軍舟艇及びクルーズ船、タンカー船など商船上の自由空間を増やすために使われると予想している。(Superconductor Week誌2009年3月23日号Vol. 23, No. 3)
 「超伝導モーターは今や採用の準備が出来ている。これは、海軍のDDG1000戦闘艇の全パワーとトルク要求水準まで成功裏にテストを終えた最初のモーターである。そして36.5 MWでこのモーターは、海軍の以前のパワー定格テスト記録を2倍に伸ばした。」とAMSC社投資&広報役員のJ. Fredette氏は語った。凡そ75トンのHTSモーターは、最初の2つのDDG-1000船体に使用されている従来の36.5 MWモーターのサイズと重量の半分より小さく、船速の広い範囲に亘って効率がよいと報じられている。
 それが試験に出されたとき、AMSC社会長のG. Yurek氏は、「小サイズ、低減した重量及び高い燃料効率は、新しい船体形状、より軽量かつ高効率の推進ポッド設計、より高速、より少ない燃料消費及び貨物・乗客用、軍需品用の広い自由空間を可能とする。それに加えて、HTSモーターは従来機よりはるかに速い。」とコメントした。
 「当モーターは、実際の使用の準備が出来ており、今必要なことは船体を前に押し出すことである。これは、試験の完了を画すことであり、今や海軍の艦船あるいは潜水艦の最初の受注を追及しているところである。AMSC社は、HTS回転機に大きな潜在需要の可能性を見ている。5MW以上のサイズに主として船舶推進モーターの的を絞っている」とAMSC社広報主任のK. Ciottone氏は語った。
 AMSC社の36.5 MWモーターは、海軍の将来艦船DDXのサイズに合っている。米国海軍向けに開発中の電気駆動システムには4つの選択肢がある。(A)HTSモーターに加えて、これらには以下のものが含まれる:(B)General Atomics社により開発されたLTS DCホモポーラモーター。(C)ピッツバーグ市のAlstom電力変換社により現在開発中の先進型AC誘導モーター。(D)ニュージアジイ州のDRS電力技術社により現在開発中の同期式永久マグネットモーター。
 この永久マグネットモーターは、当初は海軍の電気推進プログラム用のベースラインモーターであったが、ステーターの絶縁などの技術的問題により、ベースラインモーターはAlstomのAC誘導モーターに移行した。
Ciottone氏は、海軍によるAMSCモーターの採用につながるプロセスについてコメントしたがらなかったが、今までの成功に基づいてAMSC社は自社のHTSモーターが競合するモデルの中で最も進んでいると感じていると語った。
 36.5 MWのHTSモーターは、海軍研究所からの契約に基づいて、HTSモーターの将来全電気式艦船及び潜水艦用基本的推進技術としての有効性を実証する為に設計・製作された。海軍海洋システム司令部(NAVSEA)は、この試験の為資金を供給し、海軍自身はこの試験モーターを所有する。AMSC社とノースロップグラマン社は、公式協定の下でプロジェクトの仕事を分担し、AMSC社は当研究開発の主契約社としての役割を果たす。Ciottone氏は、「AMSC社は、ノースロップグラマン社と一緒に、HTSモーターを海軍用途に商業化する為に共同するだろう」とコメントした。
 当モーターの開発に於いて、AMSC社は製作の外部委託のモデルを確立したと云っている。AMSC社は、このモーターを設計し、HTS線を製造して電磁気ローターコイルを、極低温・制御システムと共に製作した。
全て他の部品の製作と組み立ては、Ranor社及び電気機械会社に下請けした。ノースロップグラマン社の海運システム事業部は、全体システムエンジニアリングと軍用船要求の解析及び評価を実施した。    (浅間山)