SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No.2, April. 2009

HTS限流器を出荷!                              _Zenergy Power社_



 Zenergy Power社は、Bi系高温超伝導線に基づく事故電流限流器(FCL)をSouthern California Edison(SCE) 社へ出荷した。1200 A定常−13.8 kV限流器は、予想される22 kAの事故電流を最低30%減らすために設計された。Zenergy社は、今回の実証は電力会社によるFCL技術の広範な商業的採用に向かう最初のステップと見ている。(Superconductor Week誌2009年2月20日号 Vol. 23, No. 1)         
 「FCL単体は、現在Avanti回路会社のShandin変電所近くの現地にあってSCEの作業員がバイパス・スウィッチの設置を終えるのを待っている。このスウィッチによりSCEは限流器を回路内に取り込むまたは取り外すことが出来る。このプロジェクトは、SCE社の将来回路図の部分を示す。彼らはこの回路図により、1400世帯に電力を送っている活線状態の配電回路上で先進技術を試験する。本プロジェクトは、恒久的設置は意図していないが最終的にはSCEがどれだけ長くサービスを続けるかを決めるだろう。我々はそれが永久に使用されるかのように設計した。」とZenergy社のU. Kollenbach氏はコメントした。
 この限流器は、1G Bi系高温超伝導線で巻かれたコイルと磁化用鉄心に基づく三相13.8 kV飽和鉄心型である。事故電流が発生したとき、鉄心は飽和域に駆動されて、当限流器は1/4サイクル以内に当システムに高インピーダンスを挿入する。HTS線による単一コイルは、6個の分離した鉄心を1.7 T以上に磁化するのに用いられ、線材を節約し冷却コストを低減する。近年の設計は1G線を用いるが、顧客が要求するか価格が下るや否や同社は2G線を導入すると言った。
 Kollenbach氏は、限流器の価格は製作量が増加し、設計が最適化するに従って低減するだろうと予言した:我々のデバイスは、一つのユニークな設計を用いている。即ち、従来の変圧器部品とDC超伝導ソレノイド・マグネットを組み合わせた設計である。我々は、経験豊富な変圧器製作者とパートナーシップを組んでいる。それ故、製作のスケールアップの際重大な挑戦に遭遇するとは思っていない。
 当限流器は現在、Zenergy社がすでに関心を引いている潜在的電力関係の顧客に対して更なる利用の機会を提供するものである。当装置は、電力中のサージを瞬間的に吸収して、損傷なしにそれ自身復帰し、連続的に安定な電力供給を維持する。それはまた、2007年3月導入された連邦信頼性規則を支持する米国電力会社を助けるかもしれない。同社は、AMSC社との契約の下、米国DOEの Hydraプロジェクトの1部として、マンハッタン送電系統中の限流器の潜在的使用を研究中である。Kollenbach氏は、「我々は、現在Hydraプロジェクトの進展として次のステージを待ち望んでいる」と報告した。
 Zenergy社の役員会メンバーは、DOEがHTSベースデバイスのUS電力系統中への採用を加速するために、50 Mドル以上を投資する約束したことから限流器のマーケットが大きな支持を得たことに注目した。Zenergy社は、限流器の世界的マーケットは年率50億ドルが期待されると強調した。「明らかに、電力会社は新技術に対して最も用心深い顧客の一つである。それゆえ、彼等はあるデバイスを彼等の電気システムに採用する前にそれが現場で実証されるのを見る必要があるのである。Avanti回路会社はZenergy社に当デバイスを実稼動している回路で実証する機会を与えた。我々もまた、電力会社がしばしば高電圧への採用に先立って低い電圧で当設計をテストするのに注目する。それ故、この13.8 kVでの実証を高電圧応用にとって必要な踏み石と見ている。」とKollenbach氏は語った。
 Zenergy社会長のM. Fitzgerald氏は、実証用限流器の当設置は商用機の発進を画すものと考えている:これは、我々がこれを18ヶ月以内に達成した2回目を記録すものであり、今や2つの数10億ドル級の世界市場に取り組む位置にある。この達成の多くは、我々が革新の商業的応用に連続して焦点を絞ったこと共に製品開発及び製造に向けた共同的アプローチの結果である。限流器設計は、国家電気エネルギー試験・研究・応用センター後援のコンソーシアムの1部として多数の電力会社の共同作業で開発された。今回の設置は、当初は2006年に予定されていたが、デバイスが国際規格と電力会社の諸要求を満たすための修正作業を受けたため、多くの遅延を経験した。                                         (相模)