SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No.1, February. 2009

  HTS誘導式ヒーターの研究に助成金を受ける!         _Zenergy Power社_


   Zenergy Power社は、自社のHTS誘導式ヒーター応用を評価するためにドイツ環境基金から115,000ユーロ
(154,000ドル)の助成を受けた。この助成金は当プロジェクトコストの60%をまかなうものである。Zenergy社は、既存のHTS誘導式ヒーター設計が如何に世界的金属産業界で工業的供給者によって普通に使用されている多様の形状及びサイズに対応できるかを評価することになると言う。(Superconductor Week誌 2008年12月17日号 Vol. 22, No. 23)
 Zenergy社によれば、当プロジェクトは潜在的工業顧客からの最初の積極的フィードバックに従うものである。HTS誘導式ヒーターを6月ドイツMinden工場に設置したWeseralu社は、Zenergy社の潜在的顧客に対してこのヒーターの動作を陳列装置で開示した。同社は、フル容量の動作を報告した。当ヒーターは、Weseralu社工場の生産性を25%増加する一方、エネルギー消費を50%低減した。Weseralu社工場のデーターによれば、当ヒーターは25,000以上の各30 kgのAlビレットを75秒ごとに1ビレットの割合で450°Cに加熱する。
 Weseralu社の所有者兼専務取締役のH. Hagemann氏は、「結果は最初に我々が予想した以上に良好であり、誘導式ヒーターは出力及び効率の点で向上した性能を示しただけでなく加熱品質、一貫性、多能性の点でも優れている。最も意味のあるのは、材料生産において約25%の増加を達成できたことで、これは我が社全体の生産レベルにとって意義深いことである。更に、HTS誘導式ヒーターの正確な温度制御により、従来のヒーター以上に広い範囲の金属合金を製造できるようになった。これは、我々の製造に大きな有利性をもたらす。特に、非常に薄く細かい、高度に精密なAl輪郭を加工するときには有利である。このような状況下で、HTS誘導式ヒーターにより完全に近い表面組織を作ることができたことは、我々と顧客双方に価値が大きい」とコメントした。
 Weseralu社は下記のように報告した:提供された性能データーにもとづく予測は、顧客の運転密度と使用した金属ビレットのサイズに依存してではあるが、HTS誘導式ヒーターにより向上した生産性水準がHTS機1台当り年額200,000~2,000,000ユーロの追加的運転利得を発生するように決まった。
 Zenergy社の声明によれば、新たに設置されたHTS誘導式ヒーターは、従来の誘導式ヒーターの半分の電力で良い。Weseralu社の最近の実働記録にもとづくと、これは既に設置された一機に対して年額50,000ユーロの追加的コスト節減になる。この性能に基づいて、同グループはHTS誘導式ヒーターは、300,000ユーロのエネルギーコスト節減をもたらすと見積っている。エネルギー消費を半分にする事はまた、Weseralu社に毎年380トンの炭素節減をもたらす。これは、25ユーロ(32.36ドル)/トンのCO2価格として約9,500ユーロに相当する。HTS誘導式ヒーターによって金属生産者にもたらされるこの大きなエネルギー消費節減は、先進工業国の年率全電力消費量の1~5%が直接的に金属生産者の加熱設備の運転に帰せられるのを思い起こすときには殊更重要である。    (こゆるぎ)