SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.6, December. 2008

  スーパーパワー社1.3 km長?153 Aの2G線材を製造中!     _スーパーパワー社_


スーパーパワー社は、NY州スケネクタディ市の工場で1,311 m長の2G HTS線を製造中であると発表した。この線材は、最小でも153 Aの電流を通電でき、200,580 A-mの全長性能を達成した。同社はまた、線材長が1,030 m、最小電流が227 A、即ち233,810 A-mの新しい2G HTS線を作製した。この数値は、2008年3月報道された同社線材の以前の記録158,950 A-mを凌駕するものである。 (SuperconductorWeek誌2008年10月6日号, Vol. 22, No.16)
 「我々は200 A/cm-wの最小臨界電流を持つ最初の1000 mラインを乗り越えただけでなく、600 m長の線材においても302 A/cmの最小臨界電流を実証した。スーパーパワー社は今や世界最初のkm級2G線材ならびに300 A/cm以上の臨界電流を有する最長の2G線を実証している。これらの線材は、加工工程のすべてに於いて高速で製造され、長尺にわたって優れた均質性を示した」とスーパーパワー社専務のV. Selvamanikam氏は語った。
 スーパーパワー社はまた、自社線材の実地の性能を改善した。77 K、1 Tにおいて、229 A/cmの臨界電流が達成された。65 K、3 Tにおいても、この線材は340 A/cmを達成した。これらの数値はそれぞれ2007年以来2倍の増加を表している。同社は、実地の性能はマグネット、回転機、SMES、磁気浮上など種々の応用にとって要点であり、2G線材の1G線材に対する基本的有利性の一つと言う。
 スーパーパワー社は新しい化学的ドーピング法によって実地の性能を2倍半ほど改善したと云っている。Zrドーピングが(Y,Gd)123相超伝導体の蒸着プロセス中に実施された。
 1300~1500 m長の完全5層バッファー線テンプレートの定常的製造を含む追加的進展をスーパーパワー社は報告した。およそ2%の均一度がこれら長尺に亘って尚かつ約7°の平均面内配向度を持って達成された。そしてこれらテンプレート線は、超伝導体層と他の後処理工程を追加して最終的な2G HTS線製品へ加工される。後処理工程には、応用毎の各線幅へのスリッティング、銅被覆、絶縁と他の顧客仕様が含まれる。
 「長尺のバッファー線の作製は今や歩留りの良い日常的な製造工程となっている。スーパーパワー社は完全5層バッファー線堆積を持つ長さ1 km以上の線材35本以上を製造したことを示した。12 mm幅の線材はそれから4 mm幅の条にスリットされた。これらの線材は12 mm幅なので、結局4 mm幅、長さが1 km以上の100本以上の線を生産したことになる」とSelvamanikam氏はコメントした。
 「スーパーパワー社は現在、加工工程数を最小にする為に自社のバアッファー層の構成を単純化するようにしている。バッファー層の形成プロセス自体は現在4 mm幅テープで350~750 m/hと非常に速いので、製造の立ち上げに要する時間は実際の製造時間より長い。それ故、バッファー作製プロセスから数工程が消えることによりもっと高い生産が可能になるだろう。長尺、高電流線材の歩留りは、低い品質の線材に比べて相対的に低いけれども、スーパーパワー社が1 km以上にわたって200 A/cm以上の臨界電流を持つ、さらに600 mで300 A/cm以上のIcを持つ2G線を実証したという事実は、同社の全製造工程が良く制御されていることを示している。この種の結果は、基板から試験に至る全工程が非常に良い管理下にない限り達成できないものである」とSelvamanikam氏は語った。
 スーパーパワー社は、15 m長の極細多芯線を作製する工業的スケールの連続プロセスを含む製造プロセスの更なる進展を報告した。多フィラメントを作製する溝付きの線はACロスを低減する。同社は、この線材配置はモーター、発電機、変圧器などACロスの低減が決定的に重要な応用分野を持つと言う。スーパーパワー社はまた顧客の要求(4 mm幅及び12 mm幅の線へ粘着性あるいは非粘着性絶縁を施す)に応えて線材に絶縁を付加するシステムを追加設置した。
 スーパーパワー社はまた、より長い線材長とより安価な外部調達による線材価格の改善を報告した。1 kmかそれ以上の注文に対して、価格は2007年の65ドル/mから2008年の40ドル/mに低減した。この価格低減は、4 mm幅線において80 Aから100 Aへの性能改善を伴った。
 スーパーパワー社は7 月にAlbany HTSケーブルプロジェクトでの全ての開発対象は成功裏に達成され、当技術は送電系統で安定的に運転できることを実証したと報告した。本プロジェクトは最初2006年7月に3つの1G Bi系HTSケーブル部分を設置し、送電を実行した。2008年1月、1セクションが除去され、スーパーパワー社の2GHTS線を用いた30 m長のケーブルに置き換えられた。
 本ケーブルは25,000世帯(等価)に電力を供給した。当ケーブルシステムは、4月の本プロジェクト契約終了後閉鎖された。本プロジェクトは、DOEとニューヨーク州エネルギー研究開発局より資金援助を受けた。「このようなプロジェクトが、HTS技術は我々の電力基盤を近代化する上で、そして我々の家庭及び産業界へ電力の安定的な供給を保証する上で決定的な役割を果たす潜在力を有する事を実証している。開発、超伝導の採用及び他の先進エネルギー技術は、我が国のエネルギー伝達基盤における効率と信頼性を向上させ、全般的国家エネルギーの安全性を高める上で決定的である」とDOEの電力輸送/エネルギー信頼性庁副長官のP. Hoffman氏は語った。                                        (高麗山)