SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.6, December. 2008

 

ポロイダル界磁コイルのプロトタイプを試験!          _ ITER _


 ITER は、 ITER トコマク用超電導コイルプロトタイプをテストし、当コイルが予想される運転条件に耐えるものと断定した。プラズマの平衡を維持する為に用いられる NbTi ポロイダルコイル (PFC) はロシア、ヨーロッパ、日本の共同で製作され、 6.4 T の磁界中で 52 kA に到達した。 (SuperconductorWeek 誌 2008 年 11 月 3 日号 , Vol. 22, No.18)
  「核融合エネルギー」所長の D. Gambier 氏は、「これは核融合業界にとって一大進歩である。我々はテストに成功し、 ITER の成功に不可欠な中核技術の道標を実証した。これらの成果に基づいて、ヨーロッパ、ロシア、中国は ITER ポロイダル磁界用導体の調達に進むだろう。」とコメントした。「核融合エネルギー」は 2007 年に設立された ITER と核融合エネルギー開発の為のヨーロッパ連携事業である。その会員には、ユーラトム、 EU の 27 ヶ国及びスイスが含まれる。「核融合エネルギー」は、 ITER に対してヨーロッパからの貢献の提供と将来の核融合実証炉 ( DEMO ) の準備に責任を負っている。「核融合エネルギー」マグネットグループ責任者の C. Sborchia 氏は、「大型の NbTi ケーブル・イン・コンジュット導体がこのような大電流と高磁界の組み合わせで試験されるのは初めてのことである ( この導体が ITER PFC に選ばれた事と同様に ) :目標性能は、予想される動作条件をシミュレートする為に 45 kA/6.4 T かまたは 52 kA/6.4 T であった。 安定 性及びクエンチテストは、 温度 マージン は 適当 であり、 T cs は十分 6 K 以上である事を示した。コイルはまた公称負荷で約 900 サイクル 試験 され、 9.7 T にて 過負荷 試験 が行われた ( 標準 状態 より約 40% の過負荷 ) 。性能とダメージについては、何ら大きな変化はなかった。」と語った。
  ITER マグネット 部門 長の N. Mitchell 氏は、「この 試験 は 予想 より広い 動作 マージン を示した。我々は、 実際 に 制限 性能 に対して 1.5 K の 温度 マージン を持つコイルを 設計 した。 ( 例えば、 4.5 K で 52 kA の電流によって 6.4 T を発生するコイルは、 6. 0 K までクエンチしない。 ) 当初は、このうち 0.5 K が劣化や 安定 問題 で失われると 予想 していたが、 実際 にはそうならなかったので、それ故 予想 より少し大きな 動作 条件 を得た。コイル 容量 は 決定 因子の一つなので、これはプラズマの 動作 条件 にとって 重要 である」と語った。 Sborchia 氏は、「種々の 電流 / 最大 磁界の組み合わせが 開拓 され、 ITER は 最初 の 試験 以来その 設計 に於いて相当の 改善 を行った。 予想 される 動作 条件 に対する 設計 マージン を増す為に、素線の レイアウト 及びターン数の 改善 がいくつかのコイルで行われた。」と語った。
   ロシアの Bochvar 研究 所 は、 直径 0.73 mm の NbTi 素線を 製造 し、 VNIIKP が素線を撚り線して 1440 ストランド ケーブル を 製作 した。英国の Tesla Engine er ing 社はケーブル・イン・コンジュット導体を撚り線し、ターン間を絶縁し、それをコイルに成形した後、イタリアの Ansaldo Superconduttori 社でスチール管により ジャケット された。 PF 導体 インサートとして知られる 結果 的プロトタイプは、 1.5 m の 直径 と 6.6 トンの 重量 を持っている。それは那珂市の 日本 原子 力 研究 所 ( JAEA ) サイトで組み立てられ、サイトのモデル中心ソレノイド ( これは試験コイルに背景磁界を供給するもの ) に挿入された。試験は、 ITER 、 ヨーロッパ、日本、ロシア及び米国からの代表の立ち会いの下で行われた。
  「 ヨーロッパ のコイル 製作 のコストは、約 1.5 M ユーロ ( 1.9 M ドル ) であり、ケーブルはロシア及びフランスから供給された。 5 M ドルオーダーの組立及び 試験 コストは、 ITER,EC 及び JAEA の間で 分担 された」と Sborchia 氏は語った。 Sborchia 氏によれば、 PFC は 縮小 サイズ及びフル スケール の 導体 と ジョイント 製作 ( これはスイスの CRPP- プラズマ 研究 センター でテストされた ) を含めて、約 10 年間の 仕事 の 成果 であった。次のステップは、 6 つの NbTi コイルを含む PF コイル・フルセットの 調達 である。全てはプラズマを閉じ込め整形する事を 意図 している。 PF1 及び PF6 は、プラズマの 垂直 方向 の変位を 制御 しよう。
  Sborchia 氏は、「ロシアは、 PF1 及び PF6 向けの NbTi の素線及び ケーブル を 製造 し、 PF1 上部 コイルを 製作 する。 ヨーロッパ は、 Cadar ache 現地 に置かれた特定の 施設 内で PF1 及び PF6 導体 に ジャケット を付け、他の 5 つの PF コイル ( PF2~PF6 ) を 製作 する。
  中国は、 PF2~PF5 向けに残りの 導体 を 製造 し、 PF インサート 製作 と 試験 で 獲得 した ノウハウ を 利用 しよう」とコメントした。 ( 相模 )