SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.5, October. 2008

MHD海水発電機を開発中

_神戸大_


 神戸大学は最近、2005年に高磁界中に海水を通過させて電流を発生させることに成功したと報告した。1990年代初頭以来、神戸大海洋学部物理学科教授の武田実氏は潮流の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するために7 TのNbTiソレノイドマグネットを用いた電磁流体発電機(MHD発電機)について研究してきた。同教授は現在MHDで発電した電気を海水の電解に適用し、水素ガス(これはその後燃料電池や内燃エンジンに使える)の製造に焦点を絞っている。(SuperconductorWeek誌2008年9月1日号, Vol. 22, No. 13)
 武田教授は、このMHD発電機は近年計画中あるいは現在使用されているMHD発電機に対して有利性を提供すると語っている。当発電機は、可動部分を持たず損傷を受けにくい。この発電機の水素ガス出力は、送電系統に分配される電気とは異なり輸送におけるロスは無い。
 同僚のX. Liu氏、K. Tukasa氏と共に、武田教授は2005年に6 Tの磁界のもとで人工的に海水をヘリカル導管中に11 L/sの速さでポンプ注入したとき、本導管は内部に張り巡らされた陽極バーと外部に巻きつけられた陰極パイプと共に0.1 Aよりいくらか少ない電流が発生できることを実証した。
 研究者達は、ヘリカル式の塩化ポリビニル壁(長さ140 mm、直径 100 mm)を造った。3.4% NaCl水溶液がヘリカル導管中にポンプ注入され、超電導マグネットにより磁界が印加されて、1350 mm長、直径10 mmの陽極ロッドと260 mm長、直径100 mmの陰極パイプの間に電圧を発生した。
 武田教授はまた油で汚れた海水を浄化するためにMHD分離装置を考案し、MgB2を液体水素の液面センサーに適用した。教授は近い将来高温超電導体での実験を計画している。
マグネットとヘリウム冷媒は高価なので、教授は文部科学省からの限られた資金で研究を続けている。狭い海峡内の海中ベッドへ設置できるようにフルサイズモデルの製作と実地試験を願って、教授は私的融資への申請を始めている。                                                                                                                                        (高麗山)