SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.2, April. 2008

7.世界的払底によりHe価格の高騰続く!


 アメリカ物理学会は、世界的なHeの払底が存在し、深刻の度を増していると報じている。この払底によりHeガスの国際価格は10%以上も上昇している。(Superconductor Week誌2007年11月19日号 Vol. 21, No. 20)

リンデグループ、世界He市場部長のS.Penn氏は当市場では少なくとも2010年まで払底の状態を続けて、価格は上昇し続けると予想していると語った。本年の早い時期に、アルジェリアとカタールのガス田が予想より少なく生産する一方、米国のメンテナンス手続きによる削減生産において2番目に多い生産を行った後だけに、ガスの供給はもっと上確実にさえ見えている。

Heはガス田から天然ガスを取り出す際の副産物である。米国は、その最大の生産者である。テキサス州のアマリロ市近くの米国国土管理局(BLM)の施設は、米国で使用されるHeの40%を生産し、全世界生産の35%に相当する。世界のHe生産の80%以上は米国の中で行われ、全世界生産の半分以上はカンサスとテキサスで行われている。米国の外、アルジェリアが最大量のHeを生産し、その他カタール、ロシア、ポーランドが残りの大多数を生産している。

2006年には、160 Mm3のHeが世界市場で取引された。今日の世界供給のおよそ3分の1が「連邦へリウム保存《からの回収から来ている。1996年He私有条例の下、米国内務局は政府の867 Mm3のヘリュウム備蓄品のうち850 Mm3を販売のために提供しなければならない。

Heの回収が最近のペースで続くならば、17 Mm3の委任統治された永久保存の超過分を備蓄したHeは10~15年内に使い切られるだろう。保存条例により最近の逼迫がもっと厳しくなるのを留めているが、一方ではどこかで生産増強し保存・回収手段探求へのニーズが高まっている。

ピッツバーグ大学物理学科吊誉教授のE. Gerjuoy氏は米国物理学会誌の基調報告の中で、「Heの供給は限定されており、取り替えられないものである。大気は莫大な世界He量700,000 billion cubic feet(BCF)を含有しているが、その濃度は非常に小さく(0.0005%)、回収のエネルギーコストは法外に高価である。残留He約1120 BCFは或る天然ガス(メタン)田の含有物である。これらのガス田の内、Heはもっとも安価に所謂He-rich田(0.3%以上のHeを含有する)から回収できる。He-rich田は、米国とほんの少数カナダで見出される《と語った。引き続いて氏は「LNGを産み出す天然ガスの液化は、もうひとつのHe富化ステップを追加する。それは、0.3%以下のHeを含有するガス田からのHe生産を今日経済的にペイするようにする。アルジェリアとカタールの最も新しいHe工場は、オーストラリアで開発中の工場とともに、そうでなければ排気していた枝葉のガスを活用してLNG工場と共働している《と語った。大抵の天然ガス田は、回収に適する濃度のHeを含んでいないが、Penn氏は世界には近年稼動している11の大きなHe田があると語っている。同氏はまた、He価格が上昇し続けるなら以前はHe-richとは考えられなかった資源が商業的に息を吹き返すことになろうと付け加えた。

「Heは、MRIマグネットの冷却のために20%、溶接用の上活性ガスシールドのために17%、Heバルーンに7%を含めて種々の目的に使用されている《とGerjuoy氏は語った。AIPレポートは「Heの払底は、日本と他の国の工業的需要の増加ならびに生産の減退によって引き起こされた。日本の工業及び研究活動は、新しい資源を確保出来ないのであれば、物価引き上げ及び消費に関する規制を含めて逆効果を被りそうである《と述べている。

  

(高麗山)