SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.2, April. 2008

4.a-Albanyプロジェクトの2G HTSケーブルは現在通電に向けて冷却中! b-スーパーパワー社製2G HTSケーブルにより通電開始!


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Albanyケーブルプロジェクトの第2フェーズとして設置された2G HTSケーブルは、2007年12月遅くか2008年1月早くに始まる通電に向けて冷却プロセスが始まっている。スーパーパワー社は、今回が活線の電力系統における2G HTSデバイスの最初の実証になると考えている。(SuperconductorWeek誌2007年12月27日号 Vol. 21, No. 24 )

 2フェーズプロジェクトの第2フェーズは、1G Bi-2223/Ag線を直接代替するものとして2G YBCO厚膜導体の適合性を実証する努力の一環として、320 m長の1G HTSケーブルを30 m長の2G HTSケーブルに接続することより成り立っている。「2Gケ*ブルの設置は2007年10月に完了し、システムの電気的試験と圧力試験が現在進行中である《とスーパーパワー社は報告した。  Albanyケーブルプロジェクト第2フェーズのケーブルは、2,007年12月に出荷されたスーパーパワー社製の2G線を用いて住友電工が製作した。スーパーパワー社は、225セグメントの2G HTS素線を出荷した、各素線は長さが43 m、平均最小臨界電流が4 mm幅で70 A(5 m毎に測定して)であった。2G HTSケーブルの導体層のIcは、77 Kで2660と2820 A DCの間にあった。直径2.4 mの完成ケーブルの曲げ試験においてIc劣化は無かったとスーパーパワー社は言っている。他の試験においては、当ケーブルは10分間のAC69 kV印加に耐え、10回の200 kVインパルスの印加にも耐えた。

 Albany HTSケーブルは、2つのナショナル系統変電所間を地下式のHTSケーブルが送電運転することの技術的ならびに商業的実行可能性を実証することを意図している。当デバイスは、HTSケーブル/通常ケーブルのジョイント―長尺ケーブルの運転には必須の能力―を含んでいる。350 m長のケーブルは、2006年7月に送電を開始し、25,000人相当の家庭に電力を送った。2007年5月、1Gケーブルを有する30 m部分を2Gケーブルで代替する為に系統から切り離された。

 2006年にスーパーパワー社は、Albanyケーブルが2006年11月12日(日)午前9時32分に事故電流を経験したと報告した。近くの変電所内の遮断器は外部フラシュオーバーを受け、事故電流を起こして、HTSケーブルシステムは7.3 kAのピーク電流を被った。当ケーブルは搊傷無しに生き残ったと報道されており、11月16日(木)午後12:30現状に復旧した。

 当ケーブルは、事故電流を被る以前には、偶発事故無しあるいは遮断無しに2006年7月20日から11月11日まで累計114日間(2,700 h)運転された。当ケーブルは、この事故後更に166日間運転を続け、結局累積運転時間は280日間(6,720 h)を超えた。

 クライオクーラー(BOC社が設計、製作、運転した)及び他の機器などの保守作業は、ケーブルの運転を中断することなく行われた。2007年5月1日、当ケーブルはテストされ、第2フェーズの2Gケーブルセグメントの設置に備えて電流を下げた。                  

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スーパーパワー社は、NY州Albany市に於けるHTSケーブル実証プロジェクトの第2フェーズを成す30 m長の第二世代HTSケーブルの設置と通電開始を発表した。

スーパーパワー社は、自社のMOCVD法に基づく製造技術を用いて製造した9.7 km長の第二世代HTS線を当プロジェクトへ提供した。当線材のおよそ25~30%は、ケーブルを製作した住友電工での試験に用いられ、残りがケーブル本体に使用された。これは、2G HTS線材に基づく電力機器の最初の系統内実証であるとスーパーパワー社は語った。本ケーブルの実用は2008年1月8日に始められている。(Superconductor Week誌2008年3月5日号 Vol. 22, No. 3)

 スーパーパワー社マーケッティング部長のT. Lehner氏は、「ケーブルとすべての関連機器はきわめて良好に動作した。結果はすべての点で我々の予想に一致したかそれを凌駕した。AlbanyプロジェクトフェーズⅡの成功的実施は、成長を続ける達成表の中で我々が誇りにしている最新のものである。これら重要なマイルストーンの1つを達成した時の達成感は我々の精神を鼓舞するものがある。当ビジネスの成長を支持するフィリップス社の関与を組み合わせ、強力な未来を構築すべく焦点を絞っている。これら2つのイベントは、非常に積極的、楽観的展望を創出している《とコメントした。

 Lehner氏は、フェーズⅡは一連の新しい挑戦を提供していると語った:「我々はいくつかの事を最初と異なる仕方で行った。例えば、コストを低減するため30 m部分にフェーズⅠのクライオスタットを再使用した。それは、ケーブルコアーやクライオスタットに搊傷を与えること無しに30 m長のBSCCOケーブルを引き出して、新しいYBCOケーブルを引き込まなければならない事を意味する。また、現場でケ*ブル接続部の再使用を試みるのは初めてであるので、フェーズⅠ接続部を解体するとき、そしてまた2種類のHTS導体を一緒に接続するときには最大の注意を払った。住友電工が行ったきめの細かな仕事は、本プロジェクトの両フェーズに於けるトラブル無しのスタートに繋がった《。

 「2Gケーブル設置は、フェーズⅠで学んだ教訓から利益を受けている。フェーズⅠ時のケーブル接続と端末部の組み立てで多くの経験を得たので、2回目の再組み立てではよりスムーズに進行した《とLehner氏はコメントしている。

 Lehner氏は、ケーブルシステムをプロジェクトの寿命を超えて12ヶ月間運転するスーパーパワー社の関与は、2008年3月末に完了するだろうと語った:「最近、我々はこの計画の全てのパートナーと共に運転を延長すべく働いてきたが、今回はこのような時間表を超える如何なる事も保証は出来ない。《

 最初に設置し2006年7月に送電を開始したAlbany HTSケーブルプロジェクトは、25,000世帯と等価な電力を供給してきた。本ケーブルは、320 m長の1Gケーブル部分が30 m長の2Gケーブル部分に接続されたものから成り立っており、一個のケーブル・ケーブルジョイントを含んでいる。フェーズⅠの両方のケーブル部分は1G Bi-2223線から出来ている。フェーズⅡの実証ケーブルについては、先ず1G HTSケーブル部分を取り除いて、スーパーパワー社製の2G HTS線で置き換えた。

 27 MドルのAlbany HTSケーブルプロジェクトは、DOEから供与される13.5 Mドルに加えてNYSERDAから6 Mドルの支援を得て2001年に始められた。スーパーパワー、住友電気工業、リンデ及び国立電力系統は総べて本プロジェクトに対して技術的支持、貢献を行った。スーパーパワー社は、本プロジェクトをマネージし、フェーズⅡで使用される2G HTS線材を製造した。住友電工はHTSケーブルシステムを製造し、設置を行った。リンデは、HTSケーブルを70 Kの運転温度まで冷却する為に用いられる極低温冷却システムを供給し、モニタリングを担当した。                                 

                               

(こゆるぎ)