SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.17, No.1, February. 2008

4.NED 契約者はNb3Sn 線材開発に向けて大きな進歩を達成している!


 Alstom/MSA とShapeMetal Innovation 会社(SMI)は、次期欧州ダイポール(NED)プロジェクト向けNb3Sn 線材開発における進展について報告した。Alstom社/MSA 社は、R&Dの最終段階にあるが、一方SMI 社は線 材の劣化の評価を保留してではあるが、線材の製造開始の用意が出来ているという。(Superconductor Week 誌 2007 年11 月19 日号Vol. 21, No. 20)

Alstom 社/MSA 社は、4.2 K & 12 T で約740 A の臨界電流を持つNb3Sn 線材の試験を成功裏に実施した。 なお当臨界電流は、~15,000 A/mm2 のノンCu 臨界電流密度に対応する。Alstom 社/MSA 社の次のステップは、 同様な線材を製造することであるがノンCu 臨界電流密度はより高い25,000 A/mm2 になろう。 SMI 社は、外径50 µmの細管288 本を含む外径1.26 mm、4.2 K & 12 T で約740 A の臨界電流を持つ線材 の試験に成功している。この臨界電流は~25,000 A/mm2 のノンCu 臨界電流密度に対応する。同社はまた、0.3 T/minの励磁速度に対して安定化電流が0から4 Tのレンジで2,000 Aを超えることを確認したと報じられてい る。SMI 社線材で達成されている高電流と極細フィラメントは、この電流密度レベルでは前例がないという。 SMI 社(最近European Advanced Superconductors 社によって取得された)とAlstom 社/MSA 社の2 社は、 NED プロジェクト向け次世代Nb3Sn 線材を開発し、製造出来るようにCERN と契約を結んだ。CERN によ り指定されたNED導体の要求仕様は、88 mm の空隙を持つNb3Sn ラザフォード型ケーブルと工業的製造のス ケールアップを見込んで50 kgを超えるビレットサイズで製造した双極マグネットモデル(13~14 Tの孔内磁界、 ~15 T の導体ピーク磁界)である。

NED は、ヨーロッパ統合(CARE)プロジェクトの加速器共同研究活動体(JRA)で、EU-FP6 研究基盤の後援の 下、資金援助を受けている。NED/JRA の目的は、LHC の改良及びそれ以降に向かってヨーロッパのNb3Sn 加速器用マグネット技術の開発を推進する事であり、米国LHC 加速器研究プログラム(LARP)の枠内で行われ ている研究努力を補足する事である。

NED は、3 つの技術的作業パッケージ(熱的検討及びクエンチ保護法、導体開発ならびに絶縁技術開発と実行) の中で明確に表明されている。導体開発パッケージには、EU より供給される979,000 ユーロ(1.44 M ドル)の 70%が割り当てられている。

NED は、8 つの研究所によって支持されている:英国のCCLRC/RAL、フランスのCEA、CERN、スペイ ンのCIEMAT、イタリーのINFN-ジェノバとINFN-ミラノ、オランダのTwente 大学、ポーランドのWroclaw 工科大学。全体的コ−ディネータはCEA が担当している。CERNは、CD 作業パッケージを担当する。 NEDは、2004 年1 月よりスタートし、2008 年の第1 期に終了する予定である。

                               

(高麗山)