SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.16, No.6, December. 2007

4.ASC社とTWM社は海岸風力発電場向けHTS技術を共同開発する!


  米国のASC社とTECO-Westinghouse Motor会社は、研究ジョイントベンチャー会社を設立して、海岸型風力発電場の高電力・直結駆動式風力発電機向けにHTS及び関連技術を開発すると発表した。両社はまたNISTの先進技術プログラムから資金援助を受けることも明らかにした。これは、6.8 Mドルの研究プロジェクトを実施するために3.4 Mドルの資金を両社に提供するものである。(Superconductor Week誌2007年10月29日号Vol.21, No.19)

ASC社メディア投資関係取締役のJ. Fredette氏によれば、ASC社はプロジェクトコストの内ASC社及びTWMC社の分担分3.4 Mドルを支払うだろう。当プロジェクトには、プロトタイプ発電機の製造は含まれていない。目標とする超低速、高トルク発電機は毎分11回転、6 kVでフルパワーを産出すると期待されている。

近年、5 MWまでの風力発電機は市場で販売されている。30ヶ月のコスト分担方式の研究プロジェクトは、10 MW級直結駆動式風力同期発電機に必要な技術を開発することが要求されている。中核技術として新しいHTS線材及びコイル技術が含まれる。.Fredette氏は、「10 MW級機は今後3~5年以内に実証試験を実施した後、商用化する事が期待されている《とコメントした。 ASC社は、HTS直結駆動式発電機がより小さなパッケージ内でより大きなパワーを、從来の直結駆動発電機とほぼ同じコストで供給する事を望んでいる。発電機のロータでは銅線をHTS線で代替し、本プロジェクト中に開発される新しいステータ−設計法を援用する事によって、両社(ASC/TWM)は10 MW級直結駆動発電機を從来発電機の約3分の1の重量約120トンで製造出来ると見積もっている。

Frederette氏は、「風力タービンの電力定格の成長は明らかである。風力タービン工業の専門家は、定格は増加し続けると予想している《とコメントした。因みに、オランダ研究局、戦略研究評議会及びデンマークエネルギー並びに環境プログラムは、12 MW級海岸風力タービンの科学的基礎を調査中である。このような大きなタービンは、海面上に直径170 mの車輪を持つ190 m長のロータを占有しよう。

興味深い事に、超大型風力タービンを設計しようとの挑戦の幾つかは、エンジニアリングや中核技術とは関連せず、むしろ高所の海岸風力の大気流と渦を巻く特性について必要な知識を得る事に関連している。これら大型発電機の上端は海面上265 mの高さになり得るものである。

ASC/TWM社HTS風力タービン・プロジェクトは、最近では2番目に大きなHTS風力プロジェクトである。今年早くにZenergy Power社は、英国通商産業省から資金援助を得、8 MW直結駆動SC発電機の設計の為Converteamの指導を受けて、当プロジェクトに参入した。

ASC社の発電機は、Zenergy Power社子会社Trithor社によって開発された1G HTS発電機とは異なり、ASC社製2G HTS線材を用いて開発されるだろう。Zenergy社とASC社は、成長中の風力発電市場に参入を試みつつある。当市場は、水力発電市場と組み合わせると20~30億ユーロ/年(28~43億ドル/年)規模の市場になり得るとZenergy社は考えている。               

                               

  (高麗山)