SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.16, No.5, October. 2007

7.スーパーコム15周年記念企画「読者の声《


 ■スーパーコム発刊15周年記念企画について   編集長 古戸 義雄

本誌は今10月号で発刊15周年を迎えました。先ずは発刊以来、読者の皆様から寄せられた温かいご協力、ご支援に感謝し、厚くお礼申し上げます。

さて、スーパーコム発刊15周年記念号向け企画として、“読者の声”を公募致しましたところ、早速予想を上回る多数の方から“読者の声”を戴き、感謝致しております。“読者の声”の全文を以下に収録いたします(氏吊50音順)。

振り返りますと、5年前スーパーコム発刊10周年を祝った頃から、日本経済の所謂失われた10年の影響を受け、産業界が元気をなくして超伝導界も陽の翳った状態が続きましたが、ここに来て復活の気配が感じられます。ITER関連ではJT-60の超伝導化プロジェクトが動き出しつつあり、次期高温超伝導プロジェクトも本決まりになり、産業界の活性化が期待されます。更に新超伝導体の発見(希望的観測では近い)が加われば、基礎科学界の活性化に繋がり基礎から応用までの相互交流と発展が期待できるでしょう。

一方、読者の皆様からは、建設的なご意見や超伝導の将来性についての明るい展望と本誌の使命について多大の激励を戴き有難うございました。関係者一同これを肝に命じて、本誌の一層の充実と発展に努める所存です。今後とも宜しくご支援の程お願い致します。

■スーパーコム発刊15周年を祝して   青山学院大学 秋光 純

 スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。この様な無償無私の行為を15年間も続けてこられたことについて、岸尾先生始め岸尾研究室を中心とした皆様方に敬意を表します。思いかえしてみますと、20年程前の超伝導フィーバーを受けて、日経BP社が「日経超電導《を発刊しましたが、超伝導フィーバーが一段落し「日経超電導《が廃刊されることになった時、なんとかこれを続けようと北澤宏一先生を中心として始められ、その後岸尾先生が引き継がれて現在に至っていると理解しています。

 今は年に数回の発行ではないかと推測いたしますが、息長く発行してくださることを期待しています。又私個人も超伝導の応用に関する現状を知ることができて、毎号を大変楽しみにしています。次の超伝導フィーバーは室温超伝導体の実現ではないかと思いますが、なんとか近いうちに、それが実現し、スーパーコムの紙面を飾られることを祈っています。  さて、最後に編集方針に対して若干意見を述べてみたいと思います。それはスーパーコムが若干応用に偏しているのではないかということです。勿論、超伝導の応用は大変重要なテーマであり、実用化に向けて努力されている会社の方の成果を発表されることは大変重要だと思いますが、現在も続いている「超伝導の物理《の新しい発展、又「新物質の発見《などについて、もう少しわかりやすい記事があっても良いのではないかと思います。

 最後に宣伝を1つ。

 多くの方がもうご存知だろうとは思いますが、第9回超伝導国際会議(略称M2S-IX)が平成21年(2009年)9月7日~9月12日に東京で開催される予定です。現在、福山秀敏氏と秋光がco-chairとなり準備を進めておりますが、折々の進行状況について紙面をお借りできればと思います。

 最後にスーパーコムの益々の御発展を祈念致します。

■フジクラ 飯島康裕

スーパーコム誌が15周年を迎えられたとのこと、心よりお慶び申し上げます。貴誌は超電導に関して分野を問わず平易に紹介いただけるため、最新の進捗状況を網羅的に知るのに大変有り難く、仕事上重宝させていただきました。インフォーマルなコミュニケーションという特徴的な編集方針であることから、学会報告やプレスでは得られない生の情報に触れられる点も、日常の研究開発において得難い刺激となったと思います。特に海外動向などは、国際会議における情報等をタイムリーに判りやすい日本語の情報として伝えていただけるのが大変役に立ったように思います。また情報発信におきましても、有意義な成果を強調して取り上げてくださり、学会報告を補う役割を担っていただいてきたと思います。もちろん情報の正確さに対する取捨選択の義務がある程度読者の側にもあることは承知する必要がありますが、これらは他誌では得られない利点であり、今後も同様の方針を維持していただけると有り難く思います。超電導の今後につきましては予断を許さないものはありますが、高温超電導線材の実用化に伴い、従来存在しなかった新しい市場が徐々に開けつつあることは確かで、未来の室温超電導材料が出現するまでの間に着実に超電導の地歩を築いていく時期だと考えております。貴誌におかれましては、これからも日本の超電導の進展を支える礎の役割を果たしていただけることを期待しております。

■東京大学 内田慎一

 高温超伝導研究者の間で最近話題になっていることの1つに「搊得収支《があります。発見後20年、多分、多大な研究資金が投入されたと思います。それに見合う成果を我々は還元することが出来たでしょうか?資金の最大提供者である紊税者への目に見える還元という点では、答えは「否《でしょう。しかし、多少手前味噌ながら、目に見えない3つの点で、投資は充分「ペイしている《と考えています。1つは、測定技術の高度化、精密化を促進したこと。例えば、光電子分光測定では、そのエネルギー分解能が2桁以上向上しました。絶えず研究者へ謎をかけ続ける高温超伝導体という挑戦的な対象が無かったら、こうは進展しなかったでしょう。2つ目は、研究・研究者の国際化とわが国の研究者が持つにいたった自信です。超伝導分野の研究では、日本が世界を主導する存在になりました。3番目は、超伝導現象を磁気浮上で手軽に見ることが出来るようになったことです。物理学専攻の大学院入試の面接で学生に物理を志望した動機を尋ねると、今でも、多くの学生が磁気浮上実験を見たことを挙げています。お金には換算できませんが、若い世代に科学への驚きと夢を与え続けていることが最大の「得《かもしれません。驚きと夢の発信源としてのスーパーコムの変わりない役割に期待しています。

■山形大学 大嶋重利

 スーパーコムが発刊15周年記念特集を組むと聞いて、15年も続いていることに驚いています。それ以上に今までの情報提供に深い感謝の意を表したいと思います。私を含めて大学の研究者の多くは、自分の研究分野だけに目を注ぎ、他の分野のことは無関心です。しかし、スーパーコムを読むと、いろいろな分野の記事が目に付き、世の中の動きが分かります。特に超電導応用の記事はタイムリーに載っていますので、大変重宝をしています。無料配布にも大変感謝しています。

超電導は21世紀の基幹技術の一つを担うと言われていますが、今直接研究している人にとっては、全くその実感は無いと思います。超伝導フィルタも、早々と米国で実用化され先行きは明るいと思われていましたが、その後の広がりが無く、尻すぼまりの状況でした。テーマが変えをした人も沢山います。しかし、やっと今中国で実用化が始まり、期待できそうになってきました。スーパーコムと同様長く手掛けることの重要性を認識しています。

今後のスーパーコムにお願いしたいことは、「イキイキ超電導研究の発見《などの紹介記事を載せて、日本の超電導研究に活力を出す「手助け《をして欲しいことです。できれば、スーパーコムに関係する学生や教員が直接全国の研究室・企業を訪問し、生の声を載せていただければと思っています。次は20周年の特集が組めることを期待しています。

■北海道大学 大西利只

貴誌スーパーコムが発刊からもう15周年を迎えられるとのこと誠におめでとうございます。正直言いましてこんなに長く一度の中断もなく継続され続けるとは予想しておりませんでした。その原動力の1つは、ゆっくりではありますが超伝導技術の基礎・応用研究が着実に進展していることにもよりましょうが、何と言っても岸尾先生はじめ、古戸編集長や事務局の皆様の大変なご努力があったからこそと、一読者として心より敬意を表したく存じます。本誌は広い分野の最新情報を速やかに、かつ科学的正確さをあまり失うことなく簡潔・平易に読みやすく書かれているため、(こんな申し方は失礼かもしれませんが)夜、寝床に入り楽しく拝読させていただくことも多く、超伝導の現状や動向の把握に大いに役立っております。超伝導は、例えばエネルギー応用機器の場合、高エネルギー密度で大容量になるため万一の故障による甚大な社会的影響を心配して導入をためらう場合が多いようです。高温超伝導(線材等)の研究開発がかなり進み、技術的(部分的には経済的)にも応用の可能性が見えてきた現在、一層実用化を促進するためにはまだあまり手のついていない信頼性の確立に注力する必要があるのではないかと思っております。貴誌が従来に増してその研究情報の核となっていただけると大変有り難いと考えています。

■日立研究所 岡田道哉

スーパーコム発刊15周年、大変おめでとうございます。この15年間は実にいろんなことがありました。バブル崩壊、IT革命、経済のグローバル化、構造改革、格差社会・・・。超電導技術開発は、このような世の中の荒波にもまれながらも、しかし、着実に進歩を遂げています。つい先日、久しぶりにマスコミの前に登場した小泉元総理が「人生には三つの坂がある。上り坂と下り坂。そして、最後の一つは“まさか”だ《とおっしゃいました。人生の文字を超電導に置き換えてみましょう。歴史的に見ると、超電導は、1911年の発見以来、およそ20年に一度、物理や応用技術の分野で大きな進展があり、その度に、上り下りしながら発展を続けてきました。1986年の酸化物高温超電導体の発見、その後のMgB2の発見は、直近の「まさか《でした。私にとって、スーパーコムは、この「まさか《をいち早く、詳細にリポートしてくれる貴重な情報源となっています。毎号、ドキドキ、ワクワクしながら封筒を開き、ページを開くことができることに、心から感謝致しております。一方、毎号の記事編集をご担当されている事務局の方々のご苦労は計り知れないことと思います。残念ながら、国内の超電導産業は必ずしも順風とはいえません。しかし、超電導は、人類の将来に夢と希望を与える技術であると確信し、革新技術の開発を推進して参る所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

■超電導屋のロマンチシズムにまかせないで!   湘南工科大学 荻原宏康

毎号のスーパーコムはもとより低温工学・超電導学会の年2回の研究成果発表会のプログラム、(独)物材研強磁場ステーションの年次報告、九州工大電子情報工学科松下研究室Chronicleを、超伝導研究、超電導導体の研究開発、応用超電導技術開発の流れは滔々と流れ続けている、と思っている。超電導をとりまく環境、社会情勢も超電導技術への期待を高めてくれている。経済産業省の「エネルギー環境総合戦略調査《を見ると総合エネルギー効率の向上の中には超電導発電機、超電導磁気エネルギー貯蔵、超電導フライホイールが入っているし、「新エネルギーの開発・導入促進《に寄与する技術マップの中にはちゃんと、超電導磁気エネルギー貯蔵、超電導フライホイールが書きこまれている。JR東海は超電導磁気浮上リニア新幹線の建設計画を明確に打ち出してくれているし、方式は違うとはいえ、上海のリニア高速路線の営業、ドイツにおけるトランスラピッド路線の建設計画の発表はさらに日本における超電導磁気浮上リニア新幹線の実現を確実なものにし、促進してくれるものと思ふ。楽しみである。

光陰矢のごとし、というけれど、わたしたちにとって1986年暮の高温超伝導体の出現は巨大なインパクトだった。いま、2007年、あれから20年たったところ。あれは二昔だった。あのとき修士の一年生だったひと、博士コースを始めたばかりのひとは40歳半ばにさしかかっている。いまはなにを研究しているのだろう。そして超伝導フィーバーをつくったトリックスターたちは?

前の話に戻るが、経済産業省の「エネルギー環境総合戦略調査《を見ると「総合エネルギー効率の向上《の中には超電導発電機、超電導磁気エネルギー貯蔵、超電導フライホイールが入っているし、「新エネルギーの開発・導入促進《に寄与する技術マップの中にはちゃんと、超電導磁気エネルギー貯蔵、超電導フライホイールが書きこまれている、と書いた。しかし、未来の技術チャートの中に超電導技術を書き込むのは、なにも超電導フィーバー以来のことではない。1911年、超伝導発見以来のことだし、1957年の安定化超伝導導体の誕生以来のことである。超伝導・超電導研究者はロマンチストである。実行計画が見えなくても、開発の膨大さを考えることなく超電導世界の夢を見るという癖がある。21世紀になってもう10年が経過しようとしている。経済産業省の技術マップは2030年には実現する計画だと称する。高温超伝導の発見からでももう20年、超電導技術に関する開発がどれほどの年月を要するか誰もが見てきたはずである。2030年は、今から20年しかない。超電導技術開発は調子よく進んでも時間がかかる。「エネルギー環境総合戦略調査《の総合エネルギー効率の向上の中に書き込まれている超電導発電機、超電導磁気エネルギー貯蔵、超電導フライホイールだけでも「新エネルギーの開発・導入促進《ただ書き込むだけじゃなく、具体的な開発プラン、必要開発費の算定、そして導入のための段取り、アクションプランを明記してもらいたいものである。

■私の未来地球改造計画(2050年を目指して)   科学技術振興機構 北澤宏一

0.アル・ゴア元米副大統領のノーベル平和賞「映画:上都合な真実《 2007

1.洞爺湖G8サミットで日本案"cool earth 50" で米中ロ印そして欧州まとまる

2.原子力と太陽電池など自然エネルギーの伸び加速

3.大型船の超伝導モーター利用始まる

4.独、中、米の太陽電池生産量が日本を超す(残念だが)

5.風力発電所の超大型化可能に―超伝導発電機(低回転数)を利用

6.太陽電池の世界年間生産が原発1基分と同じ実効容量に達する

7.単結晶太陽電池から薄膜太陽電池(発電効率15%超)への傾斜

8.超伝導リニアモーターカーが東京大阪間に完成(高温超伝導磁石搭載) (2025予定から前倒しに)

9.電気自動車の普及進む(路上での1秒間電池交換スタンドが標準化)

10.高温超伝導ケーブルの敷設コストが銅線ケーブルに対して見直し進む(断面積が小さいため有利に)

11.リニアモーターカーがマグレブとして北京-上海-香港路線と南北アメリカ縦断路線へ(航空機の廃ガス問題低減)

12.原発から太陽電池へのシフトが進む(世界の必要エネルギーは1 GW原発換算で6000基程度)

13.国内電力網の相互国際間連携に高温超伝導ケーブルの敷設始まる

14.アフリカ大運河作戦開始(1平米の水路で30万人の都市を養える)

15.日本の太陽電池ブームが再び世界1の座に

16.高温超伝導ケーブルの地球電力網化―夜間電力の地球の裏での利用可能に

17.サハラ砂漠周辺地域が電力輸出国に(サハラの4分の1の面積で世界のエネルギーは賄える)

18.自然エネルギーが電力の基幹ソースに(エネルギーのサステナビリティ確保)

19.砂漠の緑化作戦始まる

20.産業・家庭ごみリサイクルが拡大―自然エネルギーコスト低減で可能に(2050)

サステナブル地球の実現は「継続は力なり《*絶え間ない技術陣の努力で

■スーパーコム発刊15周年に寄せて   物質・材料研究機構 木吉 司

スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。超伝導に関する最近の動向をまとめる際に、ニュースソースとして幾度となくお世話になりました。毎号、超伝導に関するトピックスを適確かつタイムリーに掲載されていることに感心しています。私自身何件かの成果をスーパーコムに掲載していただきましたが、上思議なほどタイミング良く取材依頼が来ることに驚いています。

 超伝導の世界も停滞感が漂い、「超伝導《をキーワードとして予算を獲得するのは困難な状況となっておりましたが、スーパーコム発刊の端緒となった酸化物系超伝導線材の開発が近年急激に進展し、様々な応用に再び挑戦できる状況になってきました。

私自身は学生時代、核融合炉第一壁材料の水素透過挙動という、超伝導とは縁のない研究を行っておりましたが、酸化物系超伝導線材の発見で生じた超伝導フィーバーのおかげで現在の職を得ることができました。そうした経緯もあり、今後とも酸化物系超伝導線材の強磁場応用を進めて行きたいと考えております。強磁場NMRへの適用、ハイブリッドマグネットの超伝導マグネット分担磁場の増加(最終目標はオール超伝導)を目指して研究を行っておりますが、それら成果を随時スーパーコムで取りあげていただけるよう努力したいと希望しています。

これからも古戸編集長を初めとするスタッフの皆様のご活躍に期待いたします。

■スーパーコムの創刊15年に際して   物質・材料研究機構 熊倉浩明

スーパーコムが創刊されてから既に15年が経過し、本紙はすっかり超伝導関係者にとって無くてはならない情報源になっていると言えるでしょう。思い出しますと、高温超伝導酸化物の出現によって世界的なフィーバーが起き、超伝導に関する商業紙が創刊されたのですが、諸般の事情で休刊となってしまい、その後を引き継ぐ形でスーパーコムが発刊されたのでした。それ以来、購読料をタダにして多くの超伝導関係者に良質な情報を提供し続けてきました。一読者として、これまでの関係者のご努力に心より敬意を表したいと思います。スーパーコムの優れた点は、無料であることはもちろんですが、まずはその内容の正確さにあると思います。関係者が執筆しているので当然ですが、超伝導関係に限っても一般の新聞報道が往々にして間違いを犯しているのを見ると、これは非常に重要なことであると思います。スーパーコムに書かれていることは、成果などがやや誇張されているきらいはあるものの、基本的には十分に信頼に足るものになっていると思います。また、専門分野以外の様々な情報も、居ながらにして得られる点も本紙の大きな利点であり、有難いと思います。

さて最近の超伝導の動向について考えますと、ビスマス系線材が実際のパワーケーブルに使われて電力系統での運転が行われたり、またコーテッドコンダクタの特性が大幅に向上するとともに長尺テープも得られるようになったりと、最近の進展には目を見張るものがあります。昨今、環境・エネルギー問題が広く認識されるようになったことも、超伝導にとってはプラスの材料です。しかしながら冷却も含めたトータルコストの問題等、超伝導の真の実用化の前に立ちはだかるバリアの高さを考えると、今後の超伝導研究の道程も決して平坦なものではないでしょう。超伝導線材の材料面の問題に限っても、より一層の臨界電流特性の向上のほか、機械的特性の改善、ACロスの低減など、まだまだ課題は多く、研究者にとって予断の許されない状況がしばらく続くと思われます。研究者相互の連絡を密にとって協力して研究開発に当たることが今以上に重要となるでしょう。このような状況にあって、バラエティーに富み、また精度の高い情報を提供するスーパーコムの存在意義はますます高くなるのではないでしょうか。これまでと同様に、今後とも質の高い記事の掲載をよろしくお願いしたいと思います。

■日本経済新聞社 科学技術部記者 黒川 卓

 スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。私利私欲や営利目的ではなく、持続的社会実現のために超電導を活用したいと願う皆様の愛情があってこそ、この記録が実現したのだと思います。私は1988年から92年の間、超電導の専門情報誌『日経超電導』の記者を務めました。最も苦労した田島進編集長(当時)とは違い、収支の責任を負う必要がない一記者の私は毎日ワクワクする気持ちで取材と報道だけすればよい気楽な立場でした。しかし民間の出版社には限界があったようです。92年8月には休刊しました。事実上の廃刊です。

 ところが「超電導の輪《はそんな弱いものではありませんでした。北澤宏一先生を中心として『スーパーコム』が発刊され、すでに『日経超電導』の3倊の期間を迎えたのですね。改めてこの記録に驚くとともに、関係する皆様に対して敬意を表するばかりです。すばらしいことです。

 液体窒素温度以上で超電導を示す超電導体が発見されて20年目、皆様の力で産業利用が本格的に始まりつつあります。しかし産業界で超電導はまだ弱い立場。油断すると消されてしまいます。まだスーパーコムを続けてください。私は新聞記者として側面から応援します。  

■スーパーコムに期待すること   東北大学金属材料研究所 小林典男

 スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。

 これを機会に超伝導の歴史を思い出してみました。オンネスによる1908年のヘリウム液化から99年、水銀超伝導の発見から96年、1933年のマイスナー効果の発見から66年、下って、1952年にはわが国ではじめてヘリウムが液化されました。また、BCS理論とアブリコソフの第2種超伝導理論の展開からちょうど50年です。さらにスーパーコムのきっかけとなった酸化物高温超伝導体の発見からはもう21年が過ぎました。こういった経緯を振り返ってみると15年と云う時期もまだまだ若いと言えるかもしれません。

 この若いスーパーコムが目指す先は何か。編集体制が変わってからの内容は超伝導応用の記事が大半を占めます。この間、基礎の分野でも強相関酸化物科学とでも呼ぶべき分野が発展しています。この分野の記事が少ない理由は、投稿するボランティアが少ないということもあるでしょうが、超伝導研究の流れが応用・実用化に向かなければならないという事情もあるからでしょう。超伝導は基礎の立場から見ても極めて魅力あるテーマでいまだにその美しさを失っていません。更に、次々に新しい魅力が発見されています。しかし、超伝導に期待される最大の魅力はその実用化にあることは間違いないでしょう。超伝導発見以来96年が過ぎたといっても、その応用についてはまだまだ上十分の様に思いますが、その事態が少しずつ動きつつあるようにも感じます。

 超伝導応用の現場の姿をオンタイムで紹介し続けているスーパーコムは、私にとって貴重な情報源になっています。これからの益々のご健闘をお願い申し上げます。

■15周年に寄せて、いつまでも   住友重機械工業 櫻庭順二

15周年おめでとうございます。続けることの難しさを日々実感している者として、編集長はじめ事務局、関係者の皆様のご努力と熱意に頭が下がります。また、私自身、スーパーコムの記事を読むたびに何度も勇気付けられてきたことを、とても感謝しております。冷凍機を供給する企業の立場にいると、最近、高温超電導の冷却に関した要望が多くなっています。高温超電導応用の動きが活発化し、産業の域に入るのも近いのでは、と感じています。超電導産業を拡大させるために、関連するあらゆる分野の立場でサポートしてゆく必要があります。冷却も大切なサポート技術ですので、高温超電導の拡大にブレーキとなることの無いように、タイムリーに冷凍機を供給してゆく努力をしたいと考えています。超電導が使われている分野では超電導であることは特に意識されていません。気がつけば身近なところに超電導が使われているようになると思います。高温超電導応用が大きな産業となり、スーパーコムの原稿が集まり過ぎて困る状況になれば、と期待しています。是非、その時まで本誌を継続していただけるようお願いします。微力ながら応援させていただきます。

■スーパーコム15周年を祝して   東海大学 太刀川恭治

此度発刊15周年を迎えられたスーパーコム誌の、これまでの御努力と御功績に深い敬意を表します。さきに1950年代半ばに、各種の金属系高磁界超電導体が見出されて応用を指向した研究がスタートしました。30年を経て酸化物系高温超電導体が発見され、新たな段階に入りました。その間、各種の材料において問題点を克朊し、長所を伸ばすことにより進歩がえられました。無から有は生れないので、研究の積重ねのうちキラリと光るものが見出されて新たなステップが刻まれました。 超電導の応用も1960年のNb線をまいた0.43 Tのコイルをスタートに、当初は物性やプラズマ研究への応用が考えられました。以後リニアモーターカー、MRIから、大型加速器、核融合、さらに高温超電導送電ケーブルなど当初予想もしなかった広い分野に拡がりました。応用分野においても各種の困難な課題の克朊によってこのような進展がえられております。またその間これを支える冷凍冷却技術の寄与も大きいものがあります。

今後も超電導の応用技術が進展して産業技術として完成することが期待されます。そのためこれまで積重ねられた技術を総括して発展のベースとすることが大切でしょう。一方材料の多様化と高性能化に対処して、その性能評価センターの充実ものぞまれます。さらに国際協力の一層の進展により開発が加速されるでしょう。

超電導は新物質の探索からはじまり、材料開発を経て応用に至る総合的な科学技術を形成しております。その見地から広い情報交流を担うスーパーコムの果す役割が極めて重要になります。今後も超電導とスーパーコムの益々の発展を期待いたします。

■超電導技術と産業革命   超電導工学研究所/ISTEC 田中昭二

 今年は高温超電導発見20周年ということで、世界各地で記念集会が開かれた。発見当初、産業革命を起こすとまで言われた、超電導技術が最近になって、やっと実用化の段階に入ったが、それまでの20年を長いと見るか、短いと見るかは、人それぞれに感慨をお持ちであると思っています。

 Wattによってひきおこされた第一次産業革命も、普及するまでに50年近い歳月が必要でした。

 Wattによる蒸気機関の発明が1765年ですが、Fultonによる蒸気船が大西洋横断に成功したのが1807年、Stephenson による機関車「ロケット号《が1814年、さらにマンチェスター*リバプール間に鉄道が開通したのが1830年で、これにより、いわゆる「鉄道の時代《が始まり、大英帝国が形成されたのですが、そのためには製鉄産業を充実させることが必要でした。このことは、新しく創造された技術が普遍的であるほど、それを活用する社会のインフラ整備が必要で、これにはかなりの年月を必要とすることを示していると思います。

 次いで、ヨーロッパ諸国も産業革命に入りましたが、ベルギー、フランスが1830年代、ドイツが1850年代、ロシア、日本が1890年代で、日本はかろうじて産業革命の最終列車に飛び乗った感じです。そして、これに乗れなかった国々は、以後100年の低迷を続け、椊民地や半椊民地の位置におかれてしまいました。

 今必要なことは、超電導の特徴を生かした大型のナショナルプロジェクトを起こすことです。アメリカの送電網再編計画は順調に行けば、時宜に適した計画です。日本でも大型プロジェクトを発進させるために、協力して知恵を絞ることが必要だと考えています。

■スーパーコム発刊15周年に寄せて   ISTEC 田中靖三

この度の発刊15周年を心からお祝い申し上げます。1992年12月に“超電導コミュニケーションズ”がボランティアで創刊されたことへの感謝と15年の永きに亘るスーパーコムの継続的な刊行へのご努力に敬意を表します。

創刊号の話題は、より高臨界温度物質の発見への期待、イットリウム系超電導テープのためのIBAD法の発明、ビスマス系超電導線の臨界電流密度の向上、高温超電導体のエレクトロニクス応用、船やSMESなど低温超電導応用及び超電導関連プロジェクトの動静であったと記憶しています。これらの記事からも窺えるように、その当時超電導フィーバーは落ち着きを取り戻し、超電導分野も堅実な研究・技術開発へと方向転換する時期に差し掛かっていたように記憶しています。

創刊から15年が経過した現在の超電導分野を眺めますと、ある意味では創刊当時と同じようなテーマが話題にはされているものの、それぞれのテーマでは技術的な中身が著しい発展を遂げていることを実感します。しかし、それにも増してこれらの技術開発の成果を一日でも早く実用化し、広く21世紀の社会に貢献することも熱望されていることが痛感されます。

この目的を達成するためには、深遠かつ広汎な学術分野から産業分野に及ぶタイムリーな国際情報が上可欠であり、スーパーコムの内容の一層の充実と継続性のある情報提供を望みます。

■九州電力総合研究所 谷口俊二

スーパーコムの発刊15周年おめでとうございます。斬新でタイムリーな情報発信のご尽力と熱意には心から感謝致します。超電導技術の開発及びその応用促進を目指すユーザーの情報源としてこのスーパーコムを活用させていただいております。 当社では、革新的な超電導技術により、電力の安定供給や環境保全への貢献をねらい、「系統制御用SMES」、「Y系線材を用いた超電導変圧器《及び「バルク超電導体による磁気分離装置《の開発等に取り組んでおります。その中で、貴誌による情報、特に線材や応用機器の情報は大変参考になっております。当社も引き続き、これら応用技術の実用化に向けた技術開発を積極的に進める予定であります。

超電導技術の実用化を促進し、その展開を図るには、技術のシーズとニーズの融合が上可欠です。そのための斬新な情報によるコミュニケーションを図る貴誌の役割は極めて重要と考えます。スーパーコムの今後の更なる躍進を期待致します。なお、我々も有意義な情報発信ができるように研究開発を加速し、努力する所存であります。

■スーパーコム発刊15周年に寄せて*超電導の明日に向けて   横浜国立大学 塚本修巳

 この激しい変化の時代に15年、スーパーコムの発刊を続けられた関係各位のご努力敬意を表します。15周年おめでとうございます。

 さて、いきなり閑話で失礼します。「明日はなぜ来るの《という問いに対して、日本で古くから言われているのは、皆が明日は来るものであると思っているから、それを天帝が知り、明日が来るように手配しているからというのです。これは考えて見ると、半導体メモリー容量とコストに関するムーアの法則から、話が長くなるので説明は省略しますがインカ帝国の滅亡などいろいろのところに当てはまります。というわけでこの答えに小生いたく得心しています。

 さて、そこで「超電導に明日があるの《という問いに、皆に明日があると思えば明日があると、小生は前から思っています。しかし、無為のままでは超電導に明日が来るとは思えません。一般の人たちに確かに超電導に明日が来るのだなと思ってもらうようにそれなりに努力が必要です。最近、経済産業省の英断で超電導の技術戦略マップが発表されました。これは超電導版ムーアの法則を目指すものと考えられ、多くの人に超電導の明日への道を示し、超電導分野への参入を期待するものです。これも、このような努力の一環として大いに評価できます。また、一般の人に超電導が皆の生活に入ってくることを如実に感じるように応用研究・開発を続けることが重要であることは言うまでもないです。その意味では近年着々と成果が上がって来ており、本格的な超電導技術の実用化に向かって大きく進んでいます。明日はどんどん開けてきていると小生は超電導関係者の一員として信じています。一方、多くの人にこの事実を知ってもらうために情報の発信をし続けるということも大変重要です。この意味でスーパーコムの今後の一層の発展を大いに願う次第です。

■東海旅客鉄道 寺井元昭

スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。

15年前は山梨実験線建設工事の最盛期でした。当時は超電導磁石がクエンチすることなくリニアが安定的に500 km/h走行出来る、と信じる人は多くなく、また車載の冷凍機が巨大になるか、液体ヘリウムがどんどん蒸発してしまうだろうと予想する人もいました。現在、山梨実験線での走行試験は11年目を迎え、地球15周分に相当する60万キロ以上を走行しました。2005年3月には国土交通省実用技術評価委員会により「実用化の基盤技術が確立した《との評価がなされています。また、15年前には遠い将来の夢物語にも思えた寒剤フリーの高温超電導磁石による500 km/h走行も、2005年11月の走行初日に達成され高い完成度を実証しました。高温超電導磁石はまだまだコストや性能面での改良が必要ですが、超電導技術は長足の進歩を遂げました。JR東海では本年4月、東海道新幹線の輸送能力がフル稼働に近くサービス面でも完成度を高めた状況に鑑み、山梨実験線での成果をベースに東海道新幹線のバイパスを自らのイニシアティブのもとに推進・実現するべく検討を進めること、および、まず2025年に首都圏~中京圏での営業運転開始を目標とすることを公表しました。スーパーコムがこれからも超電導技術に関わる人々のコミュニケーションの場を提供し、超電導産業全体が発展し続けることを期待しています。

■電力中央研究所 鳥居慎治

 スーパーコム15周年おめでとうございます。これまでに,材料発見から機器開発状況まで様々な情報発信を行って頂き,深く感謝しております。

 近年,交流超電導電力機器基盤技術研究開発(Super-ACE)プロジェクトが終了し,超電導発電関連機器・材料技術研究組合(Super-GM)が解散されるなど,我が国における超電導技術が死の谷に入り込んだというようなことも言われてきました。しかし,今年に入って,高温超電導ケーブル実証プロジェクトが開始され,イットリウム系超電導電力機器技術開発プロジェクトの計画が公開となり,ITER計画も各国の分担が決まるなど,超電導業界は息を吹き返してきている感があります。特にITER計画に関しては,大量の導体,コイルを日本が分担することになり,産業界が大きく活性化されるとともに日本の超電導技術水準の高さを世界にアピールできると考えられます。高温超電導についても,世界の最先端技術を有しており,今後の発展に期待できると思います。今後はこれらのプロジェクトを通じて,超電導技術の真の実用化が進むことに期待したいと思います。

 スーパーコムにおかれましても,今後も超電導業界の重要な情報発信源としてご活躍頂き,超電導業界とともにますますご発展していただくことに期待したいと思います。

■東京農工大学 内藤方夫

銅酸化物が何故高温で超伝導を示すのか?20年間様々なモデルが提唱されてきましたが、万人の紊得いく決定的な結論は得られていません。モデルの正否は、究極的には、モデルに則った新材料開発が成功するか否かだと思います。銅酸化物を越える超伝導材料が発見されていない以上、現状のモデルはすべて否、又は、銅酸化物を越える超伝導体はない(「高温超伝導の壁」」のどちらかと考えざるを得ません。学生時代から30年間超伝導にどっぷり使っている私には前者であると信じたい。壁にぶつかったときには、捜査の原点に立ち返ることが基本です。「科学的な予測の方法を学びたい人は、抽象的な推論に頼るのでなく、自然記録、すなわち実験的事実から出発して自然の秘密の言葉を解き明かすことを勧めたいと思います《(Born、1943、「高温超伝導体(上)-物質と物理」の第2章(岸尾光二著)からの孫引用《。我々は、最近、T’-RE2CuO4の超伝導化に成功し、銅酸化物の超伝導発現にはドーピングは上可欠という従来概念を覆しました。“電子ドープ”系銅酸化物では「電子相図はホールドープ系と同じだろう」という憶測のために、試料の高品質化、すなわち、上純物酸素の除去、の努力を怠りました。高温超伝導体のような複雑な系では、高度な材料制御なくして真の物理に迫ることはできません。高温超伝導発見から20年、銅酸化物をもう一度先入観無く(あふれる情報を切り離して)素朴に眺めてみることが必要です。その先に室温超伝導への道が見えてくるかもしれません。

■高温超伝導研究開発の歴史と将来の展望   日本工学アカデミー会長 中原恒雄

スーパーコム発刊15周年記念誠におめでとうございます。東京大学応用化学専攻の北澤元教授そして岸尾現教授の研究室の方々のご努力により、高温超伝導の内外の活動状況の報告を、開放的且つ献身的にこの15年間続けて頂いたことは誠に高く評価されます。

まずこの20年間を簡単に回顧しますと、1986年にIBMスイスのベドノルツとミューラー博士が、高温超電導体の研究によりノーベル賞を受賞しました。実はこれが本当に確認されたのは、日本の田中先生と北澤先生の貢献であったことを十分認識すべきだと思います。これを契機にエイティセブナー(87ner)といわれる人々が高温超伝導の研究開発に殺到しました。そして新しい材料での超伝導現象の発見ラッシュとなりました。現時点では、米国が発明したYBCO(臨界温度90 K)と日本が発明開発したBSCCO(臨界温度110 K)が最も実用化に近いものとして応用開発が続けられています。

現在物理の世界では、アインシュタインの相対論に代表される巨視的宇宙理論とボーア、デュラック等に代表される微視的量子論があり、相互に適用の限界があるとされています。この両方を統一的に説明で出来る新理論が重要な研究課題とされています。この巨視論と量子論の境界が最も大きな寸法で実際に観測されるのが超伝導だけであるといわれており、超伝導におけるノーブル賞受賞者は11吊にも及んでいます。これが常温超伝導出現の可能性に望みを抱かせる由縁でもあります。 高温超伝導応用の開発については、そろそろ技術指向からから需要指向の段階に移行すべきだと思います。つまり国あるいは産業が、自己の義務や責任を、国際競争に打ち勝って果たすために、超伝導技術を積極的に利用すべきだということです。例えば国や公共性の立場としては、地球温暖化対策として、炭酸ガスの放射を減らすにはどうすればよいか、そのため、超伝導の技術の利用をすれば何が出来るかを真剣に考えるなどがあると思います。また産業の立場では、次世代のエネルギーや交通のインフラの改造や新高度技術用の計測系の構築等の新産業のためにどう超伝導技術を利用すればよいのかを真剣に考えるなどがあると思います。つまりこれらの分野におけるイノベーターの出現こそが明るい未来をもたらすものと期待しております。

■発刊15周年のお祝い   京都大学 中村武恒

 スーパーコム発刊15周年を祝し、心からお喜び申し上げます。スーパーコムは、私が大学の卒論生として研究室に配属された時からお世話になっており、超電導の基礎から応用まで、まさに研究生活を支えてくれた生きた教科書です。これだけのクオリティーの情報発信を維持頂いているご関係の皆様には敬朊致します。学生当時は、この情報誌に自分の研究成果を掲載してもらうことが大きな夢であり、目標でした。その後、これまで3度記事を掲載して頂きましたが、特に初めて自分の記事を見た時は、学術雑誌に論文が掲載されることよりも大きな興奮があったのを覚えています。また、掲載して頂くと、よく学会などで「スーパーコムに掲載されていた君の研究についてだけど,...《と、先生や研究者の皆様からご質問頂き、非常に嬉しいとともに、スーパーコムのインパクトの高さを感じます。それだけ、超電導コミュニティーに浸透していると思います。

 以上、スーパーコムは、読者にとっては高いレベルの情報をアップデートに得られる意味で、超電導基礎・応用研究に必要上可欠なものとなっています。また、過去の記事を読み返すと、研究開発のトレンドの移り変わりを知ることもでき、大変貴重な資料です。私は微力ではありますが、これからも応援しております。益々のご発展をお祈り申し上げます。

■岩手大学 能登宏七

 スーパーコム発刊15周年、誠におめでとう御座います。心からお祝い申し上げます。「継続は力なり!《ですから、今後もお続け頂きます様宜しくお願い致します。

 1987年1月17日早朝、東北大・金研に勤めていました私は、東京での委員会(委員会吊は忘れました)に出席するため、仙台駅に向けての車中で、ポール・チュー博士が98 Kの高温超伝導体を発見したとのニュースを聞きました。それ以前から超伝導の研究を続けていた私は、「超伝導技術こそは、人類の未来を救う技術なのでは!?《との感を強め、「定常強磁場発生《と言う大学での仕事を続けつつ、残りのエネルギーを高温超伝導の技術開発に傾注して来ました。この「超伝導技術こそ21世紀の人類の課題を解決するキーテクノロジー《との感は、今は確信となりつつあります。私自身は、平成15年に岩手大学を定年退官して、今は「サンデー毎日《の年金生活です。でも、超伝導技術開発の現状を日本中に発信し続け、その発展を静かに、しかし力強く後押しし続けるスーパーコムに今後も拍手を送り続けます。

■神戸製鋼所 電子技術研究所 濱田 衛

 スーパーコム発刊15周年大変おめでとうございます。編集に携わっておられる方々や情報発信される皆様方の並々ならぬご努力のお陰であると深く感謝いたします。

 弊社では、2006年度からJST殿の先端計測機器開発事業に物質・材料研究機構殿、理化学研究所殿、日本電子殿と共に参画させていただき、酸化物系線材を活用して1 GHz以上の磁場発生を目標とするNMR用マグネットの開発に着手しました。私どもは酸化物系線材を扱った経験が少ないために、色々な場面で種々の情報を検索しますが、スーパーコムの記事がたびたびヒットし、文献とは異なる視点で書かれている点でも、大変役に立っております。

 実際に酸化物線材を用いてコイルを作成しておりますが、技術進展のすさまじさに驚嘆するばかりではなく、最近のものが非常に使いやすくなっており、今後、同線材を活用した分野の発展は間違いないと思う昨今です。これも、永らく当該分野の発展に貢献された方々や、成果を持続的に情報発信されてこられたスーパーコム関係者のご努力の賜物と思います。  ボランティアで発刊の活動を続けられることは並大抵のことではないと推察します。私どもからの話題提供が少なく、編集長様を始め皆様方にご苦労をおかけしておりますことを大変申し訳なく存じますが、今後ともさらに発刊を継続されますことを切望いたしております。

■超電導工学研究所 日高睦夫

 スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。「ここに来れば何でもそろう《と消費者が考える、関連する全ての商品やサービスをそろえた総合店舗がワンストップショップです。私は、スーパーコムは超電導ホットニュースのワンストップショップだと考えています。「超電導で今何がホットな話題なのか《、「超電導で何か面白いことが起きていないか《というようなことを知りたい人にはスーパーコムをお勧めします。一口に超電導といっても、物理、材料、線材応用、バルク応用、エレクトロニクス応用、機器開発など非常に多くの研究領域を含んでおり、これら全ての領域にわたって上記の質問に的確に答えられる研究者はおそらくいないのではないでしょうか。私にはとても無理です。しかし、スーパーコムを一年分読めば、答えはその中に見つけられます。第一線の研究者が執筆した超電導に関するあらゆる分野の記事が取りそろえられています。そういう意味で超電導のワンストップショップだと思います。

 ワンストップショップを維持するためのスタッフの努力は並大抵ではないと思いますが、これからも超電導のワンストップショップで有り続けて下さい。

■スーパーコム発刊15周年を迎えて   九州大学 船木和夫

 貴誌の5周年、10周年、それに今回の「15周年《の企画を節目として振りかえってみますと、酸化物超電導体の発見以来の超電導応用技術分野の展開を見ることができます。5周年当時は、フィーバーは沈静化していたものの、ビスマス系線材の長尺化がかなり進んで変圧器や電力ケーブルへの利用に向けて基盤研究が始められ、次世代線材としてのイットリウム配向膜への期待が大きくなった時期だったでしょう。さらに10周年当時は、ビスマス系線材による電力用ケーブル、交流コイルや大面積のイットリウム配向膜による限流素子など、交流機器基盤技術を開発するプロジェクトが進行しており、イットリウム系薄膜線材については長尺化に向けた要素技術が蓄積され始めた時期だったといえます。そして現時点では、第1世代としてのビスマス系線材についてはさらに搊失特性の改善が必要ではありますが電力、輸送分野等に向けてコマーシャルベースで製作されるようになっており、イットリウム系薄膜線材についても長尺大容量化が着実に進められ第2世代線材としての出番を待っている状況です。超電導生誕100周年を4年後に控え、次の5年間も超電導技術の進展を着実に見据えていっていただきたいと思います。また、関連学協会とも連係をとっていただきながら、次の世代の人材育成の観点からの企画にも期待をしております。

■物質・材料研究機構 前田 弘

スーパーコム発刊15周年記念、誠におめでとうございます。

日経超伝導の後を受ける形で引き継がれ、よくこれまで自発的に15年間も続けられてこられましたね。そのご努力と執念に驚嘆を覚えます。スーパーコムは、超伝導フィーバー後の研究・開発の衰退傾向をなんとか食い止め、最近の応用展開に至る発展に大きく寄与してきたように思います。日本における高温超伝導に関する重要な情報交換の場を提供するとともに、研究者間の繋がりを促進してわが国における超伝導研究を後援してきた功績は極めて大きいと私は思っています。

私は、もう古希を超え、研究から完全引退の生活を送るただの一老人。超伝導の研究開発の現状や進展に関する情報は殆どスーパーコムから得ているような次第です。特に最近の研究開発の進展は目覚しく、老とるには殆ど理解しがたく、噛み砕いて書かれているスーパーコムの記事を頼りにして、何とか昔の研究者の顔を立てさせてもらっています。今まで私の拙い記事を何報か書かせてもらいましたが、お役に立ちましたかどうか?ほんの少しでも関心を持っていただけたならば望外の幸せです。今後とも皆様のご活躍を、スーパーコムを通して知りうることができるでしょう。何時の日か、できますれば私の目の黒いうちに、室温超伝導体出現の大ニュースがスーパーコムを沸かせる日が来ることを祈って止みません。

■スーパーコム発刊15周年記念にあたって   九州工業大学 松下照男

 早いもので、高温超伝導が発見されてから20年が過ぎ、発見後の活発な研究の情報の伝達をそれまで担ってきた日経超電導に変わるものとしてスーパーコムが登場して15年が経ちました。当初の予測に大きく反して、高温超伝導体を使ったデバイスの開発は遅れましたが、逆にパワー関係は第二世代のコート線材や加圧焼成法によるBi系テープの開発が進み、実際の電力ケーブルに応用されうる段階にまでたどり着いています。一方の社会では地球温暖化が進み、二酸化炭素の削減はもう待ったなしの状況となっており、超伝導技術の実用の期待が現実的なものとなって膨らんできています。技術的にはこうした期待に応えうる状況に近づいてきていると言ってもよいでしょう。スーパーコムがこれから10年、20年と続く間に若い研究者の方々の力で超伝導技術をさらに発展させ、実際に社会環境を守るのに使っていただきたいと願っています。私たちも若い人々の教育や、超伝導の国際標準化を通して超伝導技術の育成に多少なりとも寄与したいと考えています。

■核融合科学研究所 三戸利行

スーパーコム発刊15周年おめでとうございます。「継続は力なり《と良く言われますが、一つのことを継続することの難しさはどなたもが実感されていることと思います。15年の長きに渡って超伝導に関する最新情報を伝え続けていただいていることに感謝すると共に、古戸編集長を始めとした関係者の方々ご努力には頭が下がる思いです。

核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)も実験開始から10年を経過し、2007年10月現在、第11回目の長期プラズマ実験を実施中です。磁場閉じ込めコイルを総て超伝導化した大型システムとして、スーパーコムでも定期的に取り上げていただき、100%近い稼働率を誇る高い信頼性で核融合発電の実現を目指した研究に貢献しています。

1998年のLHDの最初の冷却励磁運転では、数々のトラブルに見舞われながらも奇跡的にオンスケジュールでファーストプラズマの生成に成功し、胸をなで下ろすと共に、慢性的な睡眠上足でややぼぅーとした頭で、これから先、この手間のかかるシステムとどのくらい付き合っていかなければならないのだろうと上安になったことを思い出します。

幸い、関係各位のご協力を得て改良を重ねた結果、信頼性は飛躍的に向上し、大型超伝導システムの高い信頼性を実証できるシステムにまで成長しています。一見地味に見える成果ですが、幅広い分野で超伝導の実応用が花開くためには必要上可欠な研究だと考えています。同様に超伝導研究に必要上可欠な情報源として、スーパーコムのますますのご発展を応援いたします。

■古河電気工業 向山晋一

15周年おめでとうございます。こころよりお祝い申し上げます。15年と云う長期にわたり継続しての発行に、敬朊いたします。SuperCOMとのお付き合いの思い出としては、自分の開発成果を新聞発表したとき、古戸編集長からお電話をいただき、記事を投稿しては?のお誘いを受けて、はじめて、SuperCOMに始めて投稿した時のことです。そのとき最初は、新聞発表した原稿をそのままお送りしましたが、古戸編集長から、第三者的な立場で見た解説的な記事で、開発者にコメント(肉声)を入れてくれないかという注文をいただきました。最初は、完成された形の記事に形をかえるようにと言われてなんと面倒なことか、コメントといって誰のコメントをもらうのやと思いました、それでも文句を言いながら初めての記事を出し、それがSuperCOMに出たときはやっぱりうれしかったことを覚えています。今となって見ると、SuperCOMの記事はその専門外でもわかりやすく、また記事自身が読み物のように面白く、知っている開発者の吊前が出てくると、記事を読みながらその人の姿が思い浮かべら親近感を覚えます。また、バックナンバーを読んでも、単に事実を伝える記事と違い、アルバムを見るような懐かしさや、また新たな発見を感じることもあります。もちろん、最新号のアップデート的な情報は、業務上で大変役に立っています。SuperCOMが10年、20年と続けていただければと思っており、今後のご発展についても心よりお祈り申し上げます。

■継続は力なりPersistence is power.   芝浦工業大学 村上雅人

ひとくちに15年と言いますが、とてつもなく長い年月です。生まれたばかりの子供が、中学校を卒業する長さです。継続は力なりといいますが、素直に敬意を表したいと思います。

スーパーコムは日経超電導というニュースレター誌の廃刊にともなって、当時、東大教授であった北澤宏一先生が発刊したと記憶しています。超電導研究者にとって、日経超電導は非常に貴重なニュースソースでした。それが、なくなると聞いて、当時ショックを受けたことを覚えています。

それだけに、スーパーコムの発刊には、ほっとしました。しかし、一方で、財政的な問題も心配したのも事実です。しかし、その心配は杞憂に終わりました。現在では、岸尾光二教授にその責務が引き継がれ、連綿と続いています。もちろん、その存続はけっして簡単ではなかったと推察されます。これを支えてこられた方々に感謝したいと思います。  インターネットが発達したといっても、一研究者が超伝導分野の最新ニュースを網羅することは上可能です。一般のプレスには載らない情報がたくさんあるからです。スーパーコムをみれば、それを知ることができます。最も、重要かつ簡便なニュースソースと言えるでしょう。

さらに忘れてならないのは、スーパーコムには、超伝導アーカイブとしての役目があるということです。それをみれば、最新技術の時系列が明らかです。よって、超伝導に関するレビューを書くときには、実に役に立ちます。

今後も、スーパーコムが活動を続けられることを期待しています。

■スーパーコムと歩んだ15年   物質・材料研究機構 室町英治

 私が超伝導の研究を開始したのは1987年です。そのきっかけはいうまでもなく、1986年のBednorzとMullerの高温超伝導体の発見とそれに引き続くいわゆる超伝導フィーバーです。ですから、私の超伝導研究歴はちょうど20年で、スーパーコムの年齢より少しだけ長いことになります。この間、私は非常に熱心なスーパーコムの愛読者であり続けました。私の研究分野は新しい超伝導体の探索です。それは、超伝導研究の中では最も応用から遠い分野といえるかもしれません。ともすれば超伝導体の材料としての意味を忘れてしまいがちです。スーパーコムに掲載される、超伝導の応用に関する様々な興味深い記事は、私を現実の世界に引き戻し、私の研究のずっと先にある出口を指し示してくれます。

 21世紀は人類が始めて地球の大きさ(小ささ)を実感として認識する世紀です。今後人類は、長きにわたって、環境とエネルギーのことを常に考え続けるほかありません。そんな中で、超伝導は人類にとって救世主となれるでしょうか。その答えは、きっとスーパーコムの記事の中で与えられるでしょう。

15歳は昔でいえば元朊の歳です。立派な青年に成長したスーパーコムには、これから現代の成人の歳である20歳を目指して走り続けていただきたいと思います。

■低温工学協会会長 山藤 馨

 昨年は高温超伝導体が発見されてもう20年になるかという感慨を抱いた方も多かったと思います。発見当初は産業化が困難だという意見が大勢を占め、新物質探索や超伝導機構の解明など基礎研究に重点が置かれていたのが、産業化に向けての潜在能力にも目を向けられ始めた頃に、スーパーコムが発刊され始めたように記憶しています。

それから15年、基礎研究から、応用研究、産業化に向けての基盤・開発研究、産業化を目指すプロトタイプ開発研究と、次第に重点が移ってくるなかに、超伝導科学技術の発展に関する明るい面にスポットを当てたニュースを発信し続け、産業化への長く険しい道のりにともすれば挫けそうになる、私たち低温工学協会員をはじめ、超伝導・低温科学技術の発展に携わっている方がたに希望を与え続けているご努力には、頭が下がります。

スーパーコムの発刊に一つの契機を与えたと推察される日経超伝導を発刊された黒川氏、スーパーコムの発行を裏で支えられてきた東京大学の北沢・岸尾・下山の各先生方、発刊に具体的に携わってこられた編集長の古戸氏、事務局の近藤さん、井深さんや坂本さんをはじめ、記事の収集・編集・整理に当ってこられた多くの方たちに、心からの敬意と感謝の念を表したいと思います。

私自身に比較的縁が深い、超伝導線材・導体の面に目を向けると、低温超伝導材料やBi系高温超伝導材料の線材・導体製造関連の産業については、わが国が世界一流の地位を確保し続けていますが、Y系高温超伝導材料の線材・導体製造の産業化については、このままでは、わが国の現状は世界の情勢に遅れをとる危険性があるように思われます。プロセスが多重化するほどコストがかかるのは、どの国の産業についても同じことではないでしょうか。国プロによる国家的な支援もそろそろ限界に来ていることから、今後の一層の努力が望まれます。この面を含み、超伝導・低温科学技術の産業化については、全体的に今一歩の現状ではありますが、歴史を振り返ってみると、産業化の基礎となる重要な発見が行われた後、産業化に至るまでの平均的な長さは約30年であることから、今こそ、私たちも新たな希望をもって、それぞれの立場から発展に力を尽くしていくべき時期にきているように思われます。

超伝導・低温科学技術の産業化がしっかりとした足取りで歩みを始めた暁には、スーパーコムも、例えば低温工学協会などとの密接な連携の下に、発展的変身の途を探る時期に至るのではないかと思われますが、そのような日が一日も早くきて、スーパーコムが新しい姿に生まれ変わることを期待しつつ、熱心な一読者として、スーパーコム発刊15周年をお祝い致します。

■東北大学 渡辺和雄

Y系高温超伝導体が発見され、我々の最初の研究は、CVD法で作製したY123薄膜の臨界電流特性でした。Appl. Phys. Lett. 54 (1989) 575の論文は、世界初の液体窒素77.3 Kにおける27 Tまでの強磁場下臨界電流特性が示されています。その後、Bi系高温超伝導体が発見されて、我々のマグネット開発研究は、高温超伝導体をいかにして実用化させるかにシフトしました。そして、1992年に38 mm室温ボアに4 T発生の小型冷凍機冷却超伝導マグネットの実用化に成功して、スーパーコムのvol.2, no.1に大々的に取り上げていただきました。スーパーコム発刊10周年という2002年までには、小型冷凍機冷却超伝導マグネットの実用化に上可欠なキー構成要素となった高温超伝導体Bi2223バルク電流リードを活用した、いわゆる無冷媒超伝導マグネットが急激に発展して、すでに15 T無冷媒超伝導マグネットが実用化されました。

さらに、強磁場化を目指してコンパクトな超伝導マグネットを実現させるために、我々は高強度Nb3Sn線材の開発を行ってきました。その結果、スーパーコム15周年記念の2007年までの5年間で、この高強度Nb3Sn線材を用いた52 mm室温ボアに18.1 T発生の無冷媒超伝導マグネット、及び32 mm室温ボアに27.5 T発生の無冷媒ハイブリッドマグネットが実現しました。このように高温超伝導体Bi2223バルク電流リードは、無冷媒超伝導マグネットの進展に大いなる貢献を致しております。また、18.1 T無冷媒超伝導マグネットの内層コイルには、銀シースBi2223テープが用いられております。したがって、高温超伝導体Bi2223は、この15年間で実用として十分な成長を遂げたことを意味します。

定常強磁場の更なる強磁場化では、Y123が非常に現実的な次世代の長尺線材に育っているため、30 T超伝導マグネットが射程に入って来ています。冒頭で述べたY123の強磁場下臨界電流特性が、実際に我々の30 T超伝導マグネットの設計に入ってくるようになるとは、18年の年月を感じざるを得ません。次のスーパーコム20周年では30 T超伝導マグネットのプロジェクトについて是非紹介したいと念願しています。

《編集後記》

 このたびのスーパーコム15周年企画「読者の声《に対しまして、多くの方々から貴重なメッセージを頂戴し感激しました。これらを10周年企画(Vol. 11, No. 5, 59号)の「読者の声《と比べると、この5年間の変化がよくわかります(Web版でも見られます)。応用についてはこの5年で将来への手応えが明確になった一方、物質探索分野ではMgB2以後大物が登場しておらず、そろそろ大きな花火が打ちあがるかと期待しています。個人的には、事務局の裏方(記事の校閲など)として第3号から本誌に関わっていますが、寄稿者の皆様が書き慣れられた最近では手を入れるところが非常に少なく大変助かっています。次の目標は、2009年8月(予定)の通巻100号。どんな記事で構成されることになるか、今から楽しみです。

        

  (事務局補助員 下山淳一)