当小マグネットは、4.2 Kにて19 Tの背景磁界の下で26.8 Tの磁界を発生した。以前の高磁界記録は、2003年第一世代(1G)マグネットによる25 Tであった。背景磁界なしで、新マグネットは4.2 Kにおいて9.5 Tを発生した。この値はHTSコイルとしては記録であるとスーパーパワー社は考えている。YBCOコイルで高磁界を発生させる努力の多くはもっと高い温度でのものであった。結果は、以前の最高磁界記録より1.8 T高かった。
新マグネットは、30 T全超伝導マグネットのゴールに向けての重要な一歩であり、第二世代HTS技術を高磁界応用ならびに電力応用分野で使用する道を拓くものである。
「この試験は、我々が永らく望んできたこと、即ち今や電力応用のために製造されているYBCO高温超伝導線材がまた高磁界技術に対して大きな潜在力を持っていることを実証した。また、本導体技術はすぐ30 Tを超える磁界を発生する全超伝導マグネットを製作するためにも使えそうである。これは、Nbベースの以前の全超伝導マグネットの限界(22~23 T)をはるかに超過するものである《と応用超伝導センター長のLarbalestier氏は述べた。
「我々は、マグネット研究所に於けるこれらの試験結果に激励を受けており、高磁界応用分野で付加的な可能性をもっと完全に開拓する為に、共同開発の持続を待ち望んでいる《とスーパーパワー社副社長のSelvamanickam氏は語った。 スーパーパワー社により開発されたYBCO線材及びコイルは、Bi-2212丸線(OST社が開発中)あるいはBi-2223線材(ASC社、住友電工、その他が開発済み)の代替案である。Bi系挿入コイルは、少なくとも4つの開発プロジェクトで試験されてきた:MIT (Bi-2223), 東北大学 (Bi-2223), FSZKarlsruhe (Bi-2223), FSU (Bi-2212)。 NHMFLもまた25 ~30 Tマグネット(低温超伝導と常伝導のハイブリッドになろう)を開発中である。
(こゆるぎ)