SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.16, No.4, August. 2007

6.ASC社が2つの新しいDOE超伝導電力系統プロジェクトを獲得!

DOEが超伝導電力系統プロジェクトに51.8 Mドルを供与!


ASC社が2つの新しいDOE超伝導電力系統プロジェクトを獲得!

 米国エネルギー省(DOE)は下記の2つの新しいASC社高温超伝導(HTS)プロジェクト資金として21.7 M$までの資金援助を与えようとしている、と本日ASC社は発表した。(WESTBOROUGH, Mass. June 28, 2007)

(1) ASC社は、ロングアイランド電力当局(LIPA)の電力系統に於いてASC社の第二世代HTS線材(344超伝導体とブランド吊が付けられている)により電力を供給するHTS電力ケーブルシステムを商業的に採用するために必要な重要部品の開発を先導するべく選ばれた。今回は電力輸送用ケーブルシステム電圧(138 kV)の拡張になるだろう。当ケーブルシステムは近年第一世代線材(1G)を用いてLIPA系統内に設置されつつあり、本年遅く送電を開始すると期待されているものである。ASC社はプロジェクトマネージャー兼線材供給者として奉仕するだろう。そしてNexans社をケーブル製作者として、Air Liquide Advanced Technologies社を極低温システムの供給者として選んだ。DOEは、18 M$プロジェクトに対してコスト負担分として9 M$を引き当てている。

(2) ASC社はまた、同社の344超伝導体を用いて3相115 kV限流器(FCL)を開発し、系統中試験を実施する主体として選ばれた。この限流器はSiemens社が開発した占有特許の低インダクタンスコイル技術が特徴であり、この技術により限流器が抵抗性に転移するまでは系統に対して上透明になる。本年の早い時期に、ASC社とSiemens社は、「我々は中電圧階級FCL向けに商業的グレイドの性能水準を達成した」と発表した。実証試験は、チームメンバーのSouthern California Edisonが運営する場所で行われよう。ASC社はまた、プロジェクトマネージャーを務める。チームにはSiemens社(ドイツ)、Nexans社(フランス)、ヒューストン大学、ロスアラモス国立研究所が含まれる。DOEは、この25 M$プロジェクトに対して、コスト負担分として12.7 M$を引き当てている。

  DOEの最近の声明中で、秘書官のS. W. Bodman氏は、「我国の混雑し、制約の多い電力系統を、進んだ最新の技術を開発することによって現代化することは、米国民に信頼でき、余裕のある電力を送り届ける上できわめて重要である。電力需要は増え続けているので、今すぐ潜在的課題を同定し、解決策を編み出し、確実着実なエネルギー供給を実現する新技術を採用すべく行動を起こさなければならない。我々はこの研究の成功に期待しており、また、Bush大統領が唱えるもっと現代的で効率的な電力システムの実現を助けると認識している」と語った。

 これらは、HTS技術を用いて米国の電力系統の現代化を加速するためにDOEが後援している5つの新コスト分担プロジェクトの内の2つである。ASC社は、自社も1つ或いは他のDOEが出資しているケーブル及びFCLプロジェクト向け線材注文に対して競合できると期待している。

 電気公共企業体は、HTSケーブル及びFCLの出現から大いに利益を受ける立場にある。同じ直径の銅ケーブルの10倊の電力を輸送する能力を持つHTS電力ケーブルは、特に近郊及び都心地域に対して、格段に明るい見込みを約束する。FCLは、電力系統に対して高圧サージ保護器として働く。今日、系統で送られる増大を続ける電力は、いまだかってない電力サージを創り出しており、電力界で事故電流として知られるものである。回路遮断器は、今日電力ネットワークを保護し、停電区域が拡大するのを防ぐために使用されている。しかしながら、多くの地域では事故電流は今日の最も強力な遮断器の限界に近づくかあるいは凌駕している。この懸念を解決するFCLを現在開発中である。

「DOEが米国の電力基盤を現代化する自己のイニシァティブに於いて、2つの超伝導プロジェクトを導入すべくASC社を選択したことは大変うれしい。これらのDOEプロジェクトは、我社の344超伝導体に対して、2007年12月我々がこの線材の量産を始めれば即座に市場を提供しよう。」とASC社創立者のG. Yurek氏は語った。

DOEが超伝導電力系統プロジェクトに51.8 Mドルを供与!

 米国エネルギー省(DOE)は、高温超伝導体(HTS)を用いて電力系統網の現代化を助けるように設計された5つの費用分担プロジェクト向けに51.8 Mドルまでの資金援助をすると発表した。これらのプロジェクトは、電力系統の信頼性、容量及び効率の向上を目指すプロトタイプ技術の実証試験を意図している。当研究プロジェクトの2つは、超伝導電力輸送ケーブルを開発するもので、他の3つは事故電流限流器(FCL)を開発するもの。(Superconductor Week誌2007年7月16日号Vol. 21, No. 13)  DOEの国立エネルギー技術研究所は、2年から5年続くと予想される当プロジェクトのマネージメントを担当する。プロジェクト費用は、DOEと選択チームとの間で均等に分担され、全体費用は合計103.6 Mドルになる。DOE資金援助はFY2007~FY2012に割り当てられる予定であるが、FY2007は10 Mドル、FY2008は7 Mドルが要求されている。

 Southwire社はDOEからの13.3 Mドルを用いて、2つの既存の変電所を連結する為に13.8 kV超伝導ケーブルを採用し、ニューオルレアン市のダウンタウン周辺における現実の過密な電力負荷問題の解決を目指している。当ケーブルは、Southwireプロジェクト・メンバーNew Orlean Entergy Corp.所有のLa Barre変電所とMataire変電所間を連結する事になろう。当チームにはオークリッジ国立研究所(ORNL)とnktケーブル製造会社が含まれる。

 Southwire社は、ASC社が国内安全省向けに開発した電力系統用第2世代(2G)のHTS線材を製造するよう最近選ばれた。また、HTSケーブルシステムをオハイオ州コロンブス市に設置し、通電を行った。

 ASC社は、DOEからの資金を用いてロングアイランド電力当局(LIPA)の電力系統中で単相プロトタイプ2Gケーブルの実証試験を実行するよう選ばれた。ASC社チームには、LIPAの外にNexans社とAir Liquide Advanced Technologies社が含まれる。                           

  (こゆるぎ)