5年間の総事業規模は、27億円と予定され、200 MVA級の中間接続部を有する三心一括型高温超電導ケーブルを、冷却装置や保護装置などの付帯設備とともに66 kVの実系統に接続して12ヶ月以上の長期連系試験を行うことによって総合的な安全性や信頼性を実証することにより、目標を達成する計画である。住友電工は、線材寸法のスリム化とフィラメント・ツイストにより、交流搊失を従来の1/3~1/4へと大幅に低下させたビスマス系超電導線を既に開発しているので、これらを用いることにより、実規模のケーブルとして、低ロスで大容量・コンパクトなケーブルが実現できると想定される。
高温超電導ケーブルは、1991年からスタートした東京電力/住友電工の共同研究により世界的に見ても先進的な開発が進められ、2002年には電力中央研究所にて、100 mの実用性検証試験が、冷却と昇温を繰り返す1年間に亘る結果により世界的にインパクトを与えた。このように、我が国が世界の開発をリードしてきたが、実線路での実証試験はアメリカに先を越されていただけに、今回のプロジェクトは、我が国で実採用へ向けて大きな一歩を踏み出したものと高い評価を与えることが出来よう。高温超電導ケーブルの実用により、送電ロス低減(CO2削減)、建設コスト削減、系統拡充の三つの観点からの大きなメリットが享受できると考えられるとともに、将来的には、直流超電導ケーブルまで見渡した大きな流れがこれで加速されることが期待される。
(ハナマルキ)