「超伝導メモリーに対する我々の新しい概念は、以前の性能の壁を打ち破るものであり、我々の設計が大型の最近のデバイスに組み込まれ、高速で運転できるよう希望する。これら最初のセルは強磁性を磁化するのに必要な書き込み電流が大きいと云うような問題が起きたが、セル設計と材料を最適化することにより解決することが出来た。《とアウグスブルク大物理科学者のJ. Mannhart氏は語っている。
他の超伝導メモリーデバイスは、超伝導量子干渉素子(SQUID)がそうである様に、データを磁束の単位で蓄える。Mannhart氏のチームが作製したデバイスは、超伝導ジョセフソン接合と結合した小さな強磁性ドットを用いることにより、より小さな空間にデータを蓄える。セルにデータを書き込むために、書き込み線を流れる電流はドットを磁化する磁界を発生する。各ドットの磁界の方向はジョセフソン接合に向かうか、それから遠ざかるか、それかドットが1か0の値を保持すかを決定する。ドットの磁界は接合内の磁界を変化させ、データは接合の臨界電流から読み出すことが出来る。
プロトタイプ・メモリーチップは幾つかのNbジョセフソン接合列のパターンを含んでおり、各列は8つの接合から成り立っている。各接合は、6 m幅、9 m長、600 nm厚の強磁性ドットと結合している。動作可能な強磁性材料には種々あるが、プロトタイプ用には通常パーマロイとして知られるNi-Fe化合物を選択された。
当デバイスは、ジョセフソン接合に基づく超伝導プロセッサーを作製するのに使われているのと同じプロセスによって製造出来るとMannhart氏は説明した。これによってメモリーがプロセッサーと全コンピューターの他の部品と共に容易に完成し、同じ極低温システムを利用する事が可能となる。更なる開発によって当デバイスは他型式のメモリーと競合出来るようになるとMannhart氏は信じている。「実験上の都合で我々の試験デバイスは非常に遅い速度で運転された。しかし、磁化を速く書くことができ、ジョセフソン接合は非常に速い読み出しデバイスなので、これらのメモリーが非常に高速で動作する潜在可能性を見ることが出来るだろう。限界値は設計に依存しており、今のところ最終的限界は未知である。我々が言えるのは、このデバイスは速度に於いて少なくとも他形式の超伝導メモリーかMRAMsに匹敵するだろう《とMannhart氏はコメントした。
(高麗山)