SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.15, No.6, December. 2006

5.Southwire会社及びnktケーブル会社のHTSケーブルが送電を開始!


 Ultera社(米ジョージア州のSouthwire会社とデンマーク国のnktケーブル会社間の合弁会社)は成功裡に200 m長の13.2 kV/3 kA (69 MW)HTSケーブル・システムをオハイオ州コロンブス市の米国電力会社のBixby変電所に設置し、送電を開始した。この9 Mドル‐2年間のプロジェクトは予定の時間通り、予算以下の費用で設置されたようである。本プロジェクトの目的は、地下式HTSケーブルの実現性を実証しようとするもの。(Superconductor Week誌2006年10月2日号 Vol.20, No.20 )

「次の2年間にわたって、本プロジェクトは稼動中の実配電システム上で、超伝導ケーブル技術の到達水準を実地試験によって検証する貴重な機会を提供するだろう《と米国電力会社社長のMichael Morris氏はコメントした。

 現場の専門家から、今までに作られた最もコンパクトな配電システムと呼ばれる当ケーブルは、革新的な“Triaxial”設計を組み込んでいる、そこでは全3相がお互いに同軸型に配置されCuシールドで囲まれている。このようなコンパクト設計は、必要なHTS線材の量を減らすと同時に冷却表面積と冷却必要量を減らす。当ケーブルは、18本のCuケーブルと同等の電力―小都市の必要を満たすのに十分な―を運ぶ。当ケーブルは、DOEの3つのSuperconductivity Partnership with Industry (SPI) HTSケーブルプロジェクトの内、最も高い連続運転電流定格を持つ。

 HTSケーブルは低い電圧で長距離あるいは短距離にわたって電流を運ぶことができるので、潜在的には大きなトランスを都心から遠く離れたところに置くことが可能であり、都市プランナーが貴重な土地を開発やグリーンスペースに活用できるようになる。又HTS技術は変電所間の連携をより密にできるので、冗長度が高まり系統の信頼性が向上する。

 本プロジェクトは、Southwire社、nktケーブル、AEP、Praxair社、AMSC社及びオークリッジ国立研究所の連合によって開発された。AMSC社は、当ケーブルプロジェクトに49 kmのBi系HTS線を供給している。(Superconductor Week誌Vol.18, No.10 &Vol.19, No.9を参照のこと)

 2000年に、Southwire社は、自社が設計・作製したHTS線を用いてジョージア州Carrollton市の自社工場内に80 m長、3相、12.5 kV/1,250 Aの HTS電力ケーブルを設置した。当ケーブルは現在無人運転で稼動しており、Southwire社の3工場に電力を供給中である。今回の新しいBixbyケーブルはCarrollton市に設置したケーブルの6倊の長さを有し、約2.5倊の電力を運ぶ。

 Bixbyケーブルによる送電の成功によって、Ultera社の2つのメンバー間で開発したHTS電力ケーブルの数は3つになった。2001年5月、nktケーブルは30 m長、30 kV/2 kA実証ケーブルにより送電を開始し、コペンハーゲン市の一部地域に電力を供給している。当ケーブルは、同都市南部のAmager島に在る約50,000世帯の家庭と事務所及び工場に電力を供給中である。

 Carrollton市及びコペンハーゲン市の試験から学んだ教訓は、Columbusプロジェクト向けの簡単化された極低温システムの開発に活かされた。当システムは地中の導管中での多数回の90度曲げによっても影響されないように設計されている。当ケーブルシステムは、Praxair社開発の極低温冷凍システムによって冷却される。Praxair社副社長のSteven Lerner氏は、「Columbusプロジェクトは極低温冷凍の解決策の実際的応用に於いてわれわれの専門性を引き出してくれた。この占有的システムは、連続した低ロスの電力輸送を保証するユニークな冗長度を有している《とコメントした。                       

                               

(高麗山)