ASC社の2G HTS線は、1G線(世界20ヶ国に所在のASC社の顧客95社によって利用中のもの)を代替する為の1過程であり、それ故彼等はシームレスで344超伝導体として知られる2G線の製造設備を改造する事なく製造工程に挿入する事が可能である。2006年3月31日現在、ASC社は既に2.7 km以上の344超伝導体を1Gから2G線へ移行中の顧客に出荷した。同社は、追加的10 kmの344超伝導体を重要顧客へ2007会計年度中に出荷すべく待機中である。同社はまた、サンプル程度の344超伝導体を、事故電流限流器(2G線を用いる事により実現可能になる)のような製品を開発中の新しい顧客に出荷しつつある。
ASC社は現在400 km以上の1G線在庫を持っており、現時点では製作途中の1G線を完成させる作業だけを行っており、新たに1G線製造を始める計画はない。2G HTS線製造に利用しない全ての1G線製造設備は2006年3月31日現在で償却されよう。長期にわたって稼動した1G線材関連資産の今回の全償却額は5~5.5 Mドルの範囲内にあると予想され、さらに、在庫1G線材の一部もおおよそ1.5~2.0 Mドルの搊失計上を行う。なお、これらの償却は以前の財務ガイダンスには含まれていない。
今日、ASC社はまた自社の2006年3月31日現在の財務ガイダンスを更新した。同社は、1年間の全収入が50.5~51.5 Mドルの範囲に収まると予想している。これは、50.5~51.5 Mドルの以前のガイダンスと比較される。この予想より低いレベルの収入は、大部分はASC社の米国海軍研究事務所(ONR)との契約修正の遅れに因るものであった。2006年4月27日に発表されたように、ONR契約に対する13.3 Mドルの修正は今やサインされている。この修正に関連する13.3 Mドルの全額は、2007会計年度の収入として認識されると予想している。ASC社は現在、2006会計年度の正味搊失は30~32 Mドルの範囲に収まると予想している。これは、正味搊失が22~25 Mドルの以前のガイダンスと比較される。
上記記事について、住友電工、電力・エネルギー研究所の林和彦次長は「発見から20年を経て、高温超電導技術は電力ケーブルやモーター応用などようやく実用化の道が切り開かれようとしている。この時期に最も重要なことは、高温超電導技術が本当に使える技術であることを実証し、信頼性を確認することだと考えている。また、実用レベルの大きさ、容量をもった応用機器を試作することが可能で、工業的に生産可能な高温超電導線材は、現時点で第一世代のビスマス系に限られる。更に、冷却や絶縁などの重要な周辺技術の信頼性を機器・システムの中で実証するには、従来機器でも長期間を要するのが常であり、どのような線材が主役になるかに関わらず、今からこれらの周辺技術を確立しておく必要がある。以上の観点から、住友電工は今後も継続してビスマス系線材を市場に供給してゆく所存である。なお我々も高性能化、低コスト化の可能性のある第二世代線材の開発に取り組んでいるが、ビスマス系線材の性能も向上しており、A・mあたりのコストが実際にどう変遷してゆくか、現実にどのコストレベルが実現できるか慎重に見極めるつもりである。《とコメントしている。
(高麗山)