SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.15, No.3, June. 2006

4.MRIの成長速度は超音波の成長を追い越しつつある!


  超音波機器は、現在画像化機器分野で最大の市場占有者である。しかしながら、Frost & Sullivan(世界的成長に関するコンサルティング会社)によれば、超音波機器は市場の成熟により収縮する一方、MRI機器は最大の潜在的市場力を持つ市場分野として登場しつつある。(Superconductor Week誌2006年4月24日号Vol. 20, No. 8) MRI工業における多様な技術(高磁界マグネット、向上した患者診断処理能力及び専門化した画像化能力)は、この成長に貢献している。Frost & Sullivan社ヘルスケアー医用画像部チームリーダーのM. Bryant氏は「当技術は、マグネットの磁界強度ともっと重要なMRI検査速度の両面で改善しつつある。検査速度はX線CTの速度に未だ対抗できていないが、その差は急速に縮まってきている。このスキャン速度の向上により高い処理能力が得られ、MRIの優位性と結びついて今後長期に亘って成長の駆動力になろう。」とコメントした。更に、Bryant 氏はMRI使用の成長を促進する別の因子を指摘した。即ちデジタル的に制御された最新の機器にソフトウェアーの更新を促進設定する能力である。これは、新しい応用がMRIスキャンナーにその寿命期間に亘って追加出来る事を意味する。これは、導入に対する重大な障害を取り除く事を意味する、最終ユーザーが新しい応用が出現する時、もはや重い投資が冗長な設備になっていく事を恐れる必要が無いからである。

更に、Bryant 氏は、「超音波機器市場はヨーロッパではGEによって支配される一方、低級の超音波システムを提供する多数の地元事業者と特別システムを取り扱う少数の会社が存在する:東欧及び中国から輸入する低価格品は今後長期に亘って中間グレードの超音波機器分野の民主化に寄与するだろう。特別に高級な機種は、大きな大学病院の研究設備用に限られる。《と語った。 Frost & Sullivan社は、シーメンス社が2004年にはMRIの世界市場のリーダーであり、同社はこの状況は2005年も変わりそうにも無いと思っている。「MRIは格別に5つの大会社、即ちGE、シーメンス、Philips、東芝、日立に限定している。同様に、多種多様のニッチェな会社が存在する。例えば、Esaote社は極めて特殊なMRIを取扱い、Fonar社は患者の安楽を最大にすべく縦型のMRIシステムを取り扱っている。

より小さな会社による超音波機器の下位部分に於ける侵食と上位部分に於けるMRIシステムの人気の上昇によって超音波機器の使用は全体として収縮し続けるだろう、上位システムがもっとも大きなインパクトを受けながら。更に云えば、最大の市場占有率を誇るGEは、少なくともヨーロッパではこのインパクトを最も痛く感じるだろうと思われる。 重要な医用画像化手段としてMRIのヨーロッパ市場に於ける成長は、多くの国の資本的制約にも拘らず持続するだろう。保健に対する政府の強力な関与により新機器の整備に出資しているので、英国は1つの例外である。しかしながら、ドイツは最も大きく、最も安定した地域的市場であり続けている。

アジア市場はヨーロッパ市場より未開発であり、各画像部門の技術水準は低い。しかし、未開発の結果としてアジアは格段に高い市場潜在力を持っている。

桁違いに大きなアメリカ市場に於けるMRIの持続する成長はヨーロッパの場合と同様になりそうである、多少異なる理由の為であるが。「大雑把に云えば、画像化技術の全領域に於けるアメリカ市場は、ヨーロッパの7大市場の約2倊である。米国では、市場は民間機関により支配され、従って最新技術がヨーロッパよりかなり早く採用されている。これは、仕事量の利益を確保する為に最善の機器を取得する事を基礎にして、長期間の展望を持って私的資本を病院及び診療センターが活用しているからである、それに加えて投資に対する早い利益還元がある。より良い技術はまた、マーケッティングの見通しから米国流の慣行に利し、紹介患者を獲得するのに必要と見られる。

Frost & Sullivan社によれば、増加しつつある多数の公共病院は画像化機器を貸すので、ヨーロッパ市場の売り主がもっと柔軟であり、もっと創造的である必要性が増している。公的保健機関は新しい機器に対する政府予算に依存しているので、民間の画像サービス提供者は自ら資本投資しなければならず、それ故非常に価格に敏感になりやすい。

更に云えば、医用画像機器工業に於ける購買メカニズムは、ヨーロッパ市場では強烈な変化を受けつつあり、保健業者から発行される大きな公的入札数は顕著に増加している。これは、重大な価格競争を引き起こすから、R&D部門にコスト競争力のある、高性能製品を製造する圧力が掛かる。東ヨーロッパはより強い集中購買になる傾向があり、諸省庁は最良の技術を供給するより割り当てを完遂する意図が強い。米国では、私的市場ルール従ってより大きな入札は巨大な入札競争の支配を受けないので、売り主は彼等の最高の仕様製品の価値を売り込むことが出来る。

医用画像機器市場に於ける競争の成長により、売り主が次第に金融的手法、技能訓練及び資産のマネージメントサービスによって、つまり西ヨーロッパ市場の成熟した段階を反映する1つの傾向によって、彼等自身を差別化するように見える。Frost & Sullivan社は、技術的側面に関してMRI製造業者は大量の契約を獲得する為に、より包括的解決策を提供する事に焦点を絞るだろうと示唆した。このような趨勢に対する戦略的対応は、おそらく小さな特殊なMRI製造業者が高度に統合された高付加価値システムを提供すべく合併している事が明らかになっている。                                     

                               

(こゆるぎ)