SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.15, No.2, April. 2006

5. OHSUが3 T、7 T及び12 Tの大型MRI装置をシーメンスから購入!


 オレゴン健康・科学大学(OHSU)の先進的イメージング研究センター(AIRC)は最近、一連の先進的MRIシステムを取り揃えた。即ち、既に設置されている同様機に第2の3 T機器を追加し、現在新しい大型7 Tシステムを設置中であり、12 T動物研究システムを注文中である。搬入は当年遅くの予想である。AIRC事務所及び中核スタッフと一緒に3台のMRI装置はOHSUキャンパスの完工間近い新しいバイオ研究棟内に収容される予定。全3システムは、概算1,400万ドルの一括購買の1部としてシーメンス・メディカルソリューションから供給された。(SuperconductorWeek誌2006年3月29日号 Vol.20 No.6 )

 最近搬入された7 T全身MRIマグネットは、重さが30トン、長さが360 kmのNb-Ti超電導線を用いている。90 cmの孔径を持つ3.4 m長の非シールドマグネットは、シーメンス社向けにMagnex社により製作された。従来形式のMRIコンソール、勾配磁界運転器、患者台はシーメンス社が供給した。当システムは高性能の勾配磁界セットを持ち、100 mより良好な解像力を提供出来る。当7 T機器は、建物の下に横たわるベッドロックに直接注入した基礎の上に設置された。当機器は、20インチ厚の500トン鉄シールドの中に、指定された位置から2~3 mmの精度で設置しなければならなかった。

このOHSUへの設置により、米国内の7 Tシステム設置数は4件になった。シーメンス社は、世界の潜在的市場性は15~20台と考えている。この春搬入が予想される12 Tマグネットの重量は12トンであり、人間の健康研究用に設計されている。ベテスダ市の国立健康研究所に設置されている12 Tシステムは、世界中で唯一他のその種の12 Tマグネットである。

 AIRC所長兼OHSU生理学・薬学助教授のCharles S. Springer氏は、「これら3台の高磁界マグネットの到着はOHSU研究にとって重大な機会である。我々はまさに米国のトップ画像研究センターの一つになろうとしている、技術的に云って、そして人材面でみても《と語った。

 Springer氏は、Oregon Opportunity(オレゴン機会)を通じてAIRCを立ち上げるためOHSUに新任された。5億ドルの公私協同基金を持つオレゴン機会は、オレゴンが生物医学研究分野において国内的により強い競争力をもつよう支援する意図で設立された。2002年、オレゴン州政府と選挙民はオレゴン機会を支持する2億ドルの公的ボンド・イニシャチブを承認した。これらの公的資金は、71,000人の個人からの3.35億ドル以上の個人的寄付に対応する。資金集めは、生物医学研究ビルディングを重要な資本的優先事項として2006年6月30日まで続く。

 OHSUキヤンパス内仮の建物に於けるAIRCの開所式以来、Springer氏はAIRCマネージャーのX. Li氏及び上級科学者のW. Rooney氏と共に、MRIデーターを解釈する為の新しい方法を開発中である。これらの科学者は彼等の研究が胸及び前立腺を含む多くのガンについてもっと鮮明な診断像を提供出来るだろうと期待している。OHSUで開発中の新しい分析方法論は、シャッター速度モデルと呼ばれている。この方法により研究者は、健常及び患部組織の細胞中を出入りする水分子の運動効果を説明する事が可能になる。シャッター速度モデル分析は、他の方法より鮮明に腫瘊の位置を指示出来ると云われている。それはまた研究者が初期の段階で良性と悪性腫瘊を区別する事が可能であり、腫瘊の治療に対する反応をモニターする事が可能と云われている。

AIRCに於ける他の研究には、薬物使用によって引き起こされた脳変化、血液のホルモンレベルの記憶への影響及び視覚上在の時、脳はどのように架線されるのか、あるいは視覚の喪失に伴う脳内の再配線をいかに理解するかの研究も含まれている。計画中の将来研究には、増加した解像力を持つ脳の画像化研究と完全な血液・脳間障壁の定量的測定法の改良が含まれている。              

                               

 (こゆるぎ)