Bock氏は、「現在製造中のYBCO材料の真の有利性は、与えられた炉処理によるすべてのサンプルの磁気的特性が均質であることである」と云った。似た特性を持つYBCO材料をデバイスに用いることの明らかな技術的利益に加えて、均質性が増加することでさらにスクラップを減らす製造利得がもたらされる。「当プロセスのもう一つ有利な点は、製造プロセスに於ける時間の節約である。現在、YBCOモノリスは主として実験室的環境で少量製造されている。これに比し、Nexans社の新しいtop-seeded melt-growthプロセスでは、YBCOモノリスの組織形成工程に於いて一回の炉熱処理で64個のサンプルを産出する。これには、高い熱媒体を含有する大きな熱処理炉の運転が必要である。その結果、結晶成長工程の間極めて小さな温度変動 —1~2°Cの範囲に保たれる《とBock氏は付け加えた。
斯くして得られたYBCOモノリスは、高い残留磁界と磁気浮上力を示した。捕捉された磁界は1.4 Tであり、77Kに於ける臨界電流密度は1.3×105 A/cm2 (0.13 M A/cm2)に達した。
Nexans社の大きな熱処理炉の能力は、必要なYBCOプリカーサー粉末を大バッチ(100 kgに上る)で、且つ99.96%の公称純度で作製する為の新しい屋内製造能力によって補足される。Nexans社は、工業的圧縮プロセスと共に、40 mm×40 mm×10 mmのYBCOブロックを1日当たり600個作製する製造速度を達成した。そして各ブロックは、33 mm×35 mm×10 mmの台形状タイルに切断され、Nexans社のHTSベアリングのステータ−リングに設置される予定になっている。
(こゆるぎ)