Ultera社取締役のDavid Lindsay氏によると「我々は、ビスマス超電導ケーブルが費用効率の高くなる可能性のあるサイトについて、米国中の電力会社に向けて話をしている。《と答えている。さらに「超電導ケーブルシステムにおいて、1G線材と冷凍機のコストが、配電系統において全体の効率向上により埋め合わせできるいくつかのシナリオを持っている。たとえば、超電導ケーブルで大電流を送電することで電圧階級を下げることは、変圧器の設備費を削減することができ、そして超電導ケーブルの布設において既存の通行権を用いることを許すことができる。《超電導線材は、明らかに超電導ケーブルにとってもっとも高価である。そこで、システム全体のコストを下げることが、費用効率が良い応用の範囲を広げる手助けになることは疑いない。
Lindsay氏は超電導線材のコストターゲットには言及していなかったが、「我々は、過去5年間に超電導線材のコストと性能の劇的な向上を見た。多くの進歩がなされた一方で、われわれはこれらの傾向(性能向上とコスト低減)が続く必要があると感じている。《と発言した。
線材コストは、ここ数年間は高いままでいることより、Ultera社は3相トリアキシャル・ケーブル(3相全同軸型ケーブル)がコスト面で有利であると考えている。トリアキシャル・ケーブルは、超電導ケーブルシステムにおいて、超電導線と冷凍機という2つの主要なコスト構成材に取り組んでいるものである。デザインでは、3相導体を共通の中心コアの周りに同心上に配置している。この概念は、必要とされる超電導線の量を減少させること、そして冷却表面積を減らすことで冷却の必要量を減少することができる。また、ケーブルからの磁界は、120° 位相がずれた3つの相が同軸配置しているために、キャンセルすることができる。また、共通の銅シールドは、中性電流を運ぶために用いられる。
超電導ケーブルの商用化には、電力会社に対して、コストだけでなく、超電導ケーブル技術が従来ケーブルと同様の信頼性があることを証明する必要性がある。リンゼイ氏は、アルバニー、ロングアイランド、コロンバスでの米国のDOE支援の3つのケーブルプロジェクトが成功することで、信頼性の証明になるであろうと述べている。
「3相トリアキシアル・ケーブルは、英国のBICC社がNb超電導材料を用いたものを提唱したのが最初であり、今回はそのHTS版である。この型のケーブルでは超電導材料を節約出来るメリットがあり低圧ケーブルに適しているが、中・高圧ケ−ブルには電気絶縁の問題や三相一括型に比べてそれほどコンパクトにならず、一方で端末・ジョイントが複雑になるという問題が言われている。それゆえ各タイプの特長を考えて、使い分ける必要があると考えられる。《と本記事に対して、古河電工環境・エネルギー研の向山晋一氏はコメントしている。
(ネアンデルタール人)