ASC社は本協定の資金的詳細を明らかにしていないが、ASC社財務担当官のK. Bisson氏は、「当社は線材の製造コストの50 %を受け取るだろう。《と語った。ASC社は製造コストを機密情報と考えているが、公に提示されている当社線材の販価はm当たり18~20ドルの範囲にあり、Columbusケーブルプロジェクト向け線材の市場価格は925 kドルになる。Southwire会社は当プロジェクトの主契約者であり、財務及び支出管理を含むプロジェクト全体の経営責任を負っている。

　ASC社、Southwire会社及びnkt社は、過去に1.25 m長2G HTSケーブルの場合に、HTSケーブル協同作業を一緒に行ったが、Columbusケーブル注文は多くの会社の競争入札で勝ち取ったものである。Ultera社取締役のD. Lindsay氏は、「Ultera社は世界中の製造者から利用出来るHTS線材の開発状況を聴取し、複数の売り手が評価され、我々の資質評価委員会に参加した。《とコメントした。

　線材の売り手選択の基準には、性能、総合的特性の一貫性、コスト、紊入スケジュール及び製品に対する技術的サポート等が含まれている。

　ASC社技術担当常務のS. Thorn氏は、「世界中の製造者からのHTS線材を系統的に評価した後に、ASC社の線材を使用する事に決めた。そして彼等の超伝導及びケーブル企画に於ける深い経験と知識の故に、彼等を当プロジェクトチームに加えた事を誇りに思っている。《と語った。

　Southwire会社は、他機関の線材に関してはコメントしたがらないが、当プロジェクトに関係を持たないHTS線材専門家は「住友電工とASC社は共にBi系HTS線材のトップ製造者と思う《と語った。住友電工は最近、連続長1 km—110 Aが利用出来る世界最長のBi系HTS線材を製造している。

　ASC社は線材長が800 mまで、臨界電流が115~145 AのBi系HTS線を供給している。この数値は、5年前Detroit Edisonプロジェクト向けに紊入した線材と好く比較される。当時の線材は、100 mより少し長い線長に対して、少なくとも100 AのIc値を持っていた。ASC社は、「2G線材の開発に資源の大部分を集中するとしても、1G線材の改善は持続しよう《と語っている。ASC社社長のG. Yurek氏は、「我が社の1G線材は、＄/ kAmで評価した価格の改善は持続するだろう。この価格は、顧客がHTS応用を商用化するのに最も重要と語っているパラメーターである。《とコメントした。

　ASC社はまた続けて、1G線材の製造プロセスの改善を通してIc値性能と線材の長手方向の均一性改善を目指す予定である。同社は、2G線材のその他望ましい特性を改善する自社の開発計画に期待を掛けている。その改善には、ACロスの低減(AC応用に於ける冷却コストを減らす)と磁束ピンニングの改善(磁界中での性能を高める)が含まれている。

Ultera プロジェクト

Columbusケーブルプロジェクトには、200 m長Bi系HTSケーブルの実際の環境条件及び電気的負荷下での実地試験が含まれる。当ケーブルは、変電所内13 kV部分の既存架空アルミニュームブスバーを代替し、3000 Aまで通電出来るように容量アップされている。1 m長及び5 m長ケーブルが製作され、テストされた。Ultera社は、曲げ試験とケーブル端末(3相ケーブル上の複雑な特徴を持つ)の開発を成功裡に終えている。

　当ケーブル長の半分は、地上を走るように布設され、後の半分は通常のケーブルを模擬する為地下の管路中に布設される。本ケーブルは、2006年夏サービスを開始する予定である。American Electric Power(AEP)が運用を担当して、約8,200人の住民と工業的顧客に電力を供給する。 Ultera社：ジョージア州キャールトン市在住のSouthwire会社とドイツ国、ケルン市在住のnktケーブル会社間の合弁会社(HTSケーブルを開発し、商業化する為に設立された)。